軍師と女忍、まとめる

(さってとっと・・・あのお姫様の様子はどうですかな~っと♪)
・・・アスターの屋敷の入口前にて、孔明に神託の盾達と共に並び立つくのいちは内心でナタリアの様子がどうなっているのかについてを楽し気に考えていた。結果はほとんど見えてはいるが、どのようになっているのかを。
(・・・おっと、そう考えてたら両方来ちゃった。まぁこういう場合はあんまりおそく来すぎても問題になるからね~)
そういった風に考えているこ中、くのいちの視界にインゴベルト達にピオニー達が同じタイミングにて別方向から現れた姿を確認し、両サイド共に孔明達の前で向かい合うように足を止める。
「ピオニー陛下ですな?私がキムラスカの王であるインゴベルトだ。今日はこのような形で顔を合わせることが出来たことを感謝したい」
「ピオニーだ。こちらも感謝したい、こうして直々にお会いする形でオールドラントの未来について話すテーブルについていただけることを」
そこで両陛下が威厳と共に口上を述べ上げ、握手を交わすと周囲を守る神託の盾の外側にいる観衆から「おぉ・・・!」と言ったどよめきの声が上がる・・・このケセドニアで会談をすることになってはいたが、今までのオールドラントの長い歴史の中で何度も争ってきた両国の首脳がこうして直に顔を合わせるばかりか、固くはあっても友好的に握手を交わすなどまず無かった歴史的瞬間とも言えることだったために。
(ん~、駄目ですぜナタリア様?こんな晴れの舞台で周りに人がいるって言うのに、そんな浮かない顔を人に見られるようじゃ♪)
ただくのいちはその中でインゴベルトの後ろにいたどうにも明るくない表情で立っていたナタリアの事に気付き、内心だけで楽し気な気持ちを浮かべた。内心を悟らせないポーカーフェイスなど忍びとして基本中の基本となるからこそ、ポーカーフェイスのポの一文字すらも浮かんでなさそうなその様子がおかしかったが為に。
「イヒヒ・・・このような場面に口を挟むのは恐縮ではありますが、私の屋敷に入られてください。会談の準備は整っておりますので、そちらでゆっくりと話し合いをしましょう」
「うむ」
「あぁ」
そんな空気の中でアスターが話は屋敷でといつもの笑いかたで進めると、二人も同意を返す。
(ま、ここでの主役はお姫様じゃないしこれくらいでいっか♪別にお姫様が今悩んでるくらいのことにあっしが突っ込む理由もないし♪)
そんな光景にくのいちはもう別にナタリアの事を気にする必要はないと考える。これからやるべきことはナタリアを気遣うより、会談に集中する事だと。










・・・そうしてアスターの案内のもと、インゴベルト達にピオニー達は屋敷の中に設置された長いテーブルを挟んで対峙する形となった。テーブルの先に孔明達がいる形でだ。
「さて、本来でしたら導師が司会を務める所なのでしょうが・・・こちらにおられる皆様方は丞相が主導となって事態を動かされてきたとご存じの筈ですので私は後ろに控えさせていただきます」
そんな風に三者三様と言ったようになるのだが、場所を提供しているアスターは隣に立つ孔明に要約して後は任せると言い、後ろに下がる。孔明がそっと頭を下げるのを見届ける形でだ。









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