軍師と女忍、動き回る

「・・・まずそもそもを聞かせろ。お前、あいつに俺についての事なんか話に出すどころか一回も口にしてないだろ?」
「な、何故そうだと・・・!?」
「お前とアッシュが揃って話してるとこなんか見ちゃいねーが、お前との付き合いはそれなりになげーからな。そんなお前がしおらしくこうしてくれなんて言い出すなんてのは珍しく思ったから、自分じゃどうしようもねーっていうかアッシュに気を使うみたいな感じになったと思ったんだよ。間違ってたか?」
「・・・それは・・・間違っては、いません・・・」
ただルークはそんな空気の中仕方無いといったようにどうしてこんなことを言い出したのかを予測したように言うと、ナタリアはシュンとしたようになりながら違わないと頷く。
「・・・お前があいつと仲良くしてもらいたいとか、そういうことを思うのは自由だ。けどあいつにそうしてほしいとか話もしないまま俺にそうしろなんて丸投げにされたってこっちはどうしようもねぇっつーか、気分が良くねぇんだよ。俺は俺でもう自分でどうするかって考えた上で見切りをつけたってのに、そんな自分は何も言われたくないからお前がやってくれみたいな都合のいいことを言われたってよ」
「っ・・・それは、そうかもしれませんが・・・」
「それでも仲良くしてほしいってのがお前の言い分に気持ちってヤツなんだろうが、そもそもあいつから俺の事をどういう風に聞かされてるんだよ?どうせ俺の事を散々言ってるってことは間違いねぇだろうけどよ」
「・・・それは、間違っていません・・・周りに人がいないようにして話をした時、貴方の事がふと話題になった時にそんな事に・・・」
「そりゃそうだろうな・・・そんな風に言われるってのが分かってて、俺が一人で頑張ってとかやるつもりなんてねーよ。そしてそれで仲が悪いだけで済むならまだマシだろうが、最悪それこそあいつの気分次第で今すぐ殺せなんて言われてそれで言い訳も出来ずに殺されるなんて展開も有り得ると思うぞ」
「なっ・・・!?」
ルークはその様子に呆れた空気を隠すこともなく話をしていくのだが、アッシュが取る可能性の有り得る行動についてを聞いたナタリアはまさかと目を見開いた・・・アッシュの気持ち一つでルークの命が消えることになり得るとの言葉に。
「お前があいつにどれだけ夢を見てるかに、お前に対してどれだけ優しいかなんて俺は知らねぇ。けどあいつが俺に対して優しくなんてしてくれるなんか全く思えねぇし、周りがそんなアッシュと俺のどっちのことを重要視すんかなんて言ったらまず間違いなくあいつの方だ・・・何だかんだ言ったってあいつは本物の『ルーク=フォン=ファブレ』で、俺のようにレプリカなんて体じゃねぇ。そんなあいつの周りにいる奴があいつの命令を受けたらどうなるかなんてのは、俺の嫌いかたを知ってるなら分かるだろ?」
「そっ、それは・・・」
「もしそうなったならお前・・・俺の為にあいつに嫌われる覚悟だとか、俺が殺されるなら一緒に死ぬみたいな事をあいつに対して言えるか?」
「ぁっ・・・!」
だがルークは更に自分がアッシュにもだが周りにもどうされるかを告げた上で最悪の場合にアッシュと対峙してまで自分を守るつもりについてを真剣に問うと、大きく息を呑んだ上で言葉を詰まらせた・・・それらの言葉を受けて、そんなことなど出来るはずもないといったように。









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