軍師と女忍、動き回る

「それで、聞きたいこととはそれだけでしょうか?」
「いえ・・・つい先日にティアがユリアシティに戻ってきたのでその理由を聞いたのですが・・・どうにかティアを助けることもそうですが、元の位置に戻すことは出来ないのですか?」
「成程、ティアはこちらに帰ってきていたのですか・・・」
孔明はそんな会話からもう何もないなら行くと言うが、そこで市長から出てきた問い掛けと懇願の中身にそっとティアの行方を知れたと漏らす。
「・・・生憎ですが、ティアの体から障気をどうにかすることはディストの研究結果からは不可能だという結論が出ています。今も薬により痛みが和らいでいるから痛みに耐えられて動けるだけであって、薬を飲み続ければ快方へと向かうものではないとの事です・・・ティアのやる気は今まで見てきたからよく知ってはいますが、激務に携わっている中でそのやる気で彼女に突然亡くなられるということも今の状態では決して有り得ないことではないと市長はお聞きしていないのですか?」
「そ、それは・・・そんな風な話は聞いてない訳ではありませんが、ティアは大丈夫だと・・・」
「それはあくまで彼女の自己申告でしかありませんし、今言ったように彼女の体はもう薬による痛みの緩和が精々な状態です・・・市長、貴方はティアの意志を尊重したいといった気持ちがあるかもしれません。ですが意志を尊重する事より、彼女の体調を心配してあげてください・・・彼女が無理をすればするほど、貴方が天寿を全うする前に彼女が早く命を失う可能性が高くなるのですから」
「っ!?」
それで孔明がそうしない方がいいと言う中、無理がティアを早く殺すとの言葉に市長はハッと息を詰まらせた。意志を尊重するようにすることが、死に繋がるといった事になると市長自身感じて。
「・・・命が限られた人物のやりたいことをやらせるか、それとも少しでも長い時間存命であるようにしたいか・・・どちらも間違いとは言えないでしょう。ですが我々から言わせていただくならもう既にティアにはやっていただくべき事はやってはいただきましたし、神託の盾を辞めて療養するにしても暮らすに困らないだけの退職金を渡すようにする予定です・・・ですのでそれらを踏まえた上で改めてティアについてどうしたいかに接するのかを考えてはいただけませんか?」
「・・・ティアを是が非でも止めろとは、おっしゃられないのですか?」
「言ったでしょう、どちらも間違いではないと。我々は我々の立場をもってティアに接しはしますが、貴方は貴方の立場をもって接していただくことが重要です。ただティアの熱意に押された貴方が選ぶ選択肢が狭まっていたようですから、こういった可能性もある・・・私はそれを指摘しただけです」
「っ・・・そう、なのですか・・・」
孔明はそんな市長にティアに対して真剣にどう選択するかを決めてほしいと口にした上で止めると言う事を知ってほしかったと言えば、市長は複雑な面持ちを浮かべる・・・孔明の言葉で考えてしまったのだろう。ティアの意気を買って死ぬ時期を早めるより、少しでも長生きしてもらいたいという祖父としての情が出てくる形で。
「ただどちらにせよ今の我々は貴方の結論を待つような時間はありませんから、ティアを連れていくような事はしません。ですのでどうさせたいかに関しては我々が行った後に当人と話し合う形で行ってください。結論を出すにしてもそれなりの時間は必要でしょうからね」
「・・・はい、分かりました・・・」
そんな市長にちゃんと話をするよう孔明が言えば、市長は力ないながらに確かに頷いた。話をティアとすると。









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