軍師と女忍、動き回る

「では早速行きましょう。アルビオールがあるとは言え、あまり長々と時間をかけてもいられませんからね」
「あ・・・そうした方がいいのは確かですけど、ちょっと待っててもらえますか~?今ティアがどこにいるのか少し調べてきますんで」
「ティアですか・・・そう言えばいましたね」
そして早速出発としようとした時、くのいちが名前を出したティアに孔明もあぁといったように思い返す。
「このダアトの神託の盾本部にいればいいんですけど、ユリアシティに帰ってた場合に何か言ってくる可能性高いと思うんでちょっといるかいないかだけでも知っといた方がいいかなって思うんすけど」
「いえ、いるならいるで構いません。心構えさえ出来ていれば特に問題はありませんし、こうして貴女から聞けただけでも心構えは整いましたから十分ですよ」
「分かりました~、じゃあ行きましょうか」
それでくのいちが聞きに行こうかと言い出すが、大丈夫だと微笑を浮かべながら理由付きで述べる孔明にならとあっさり意見を翻した。孔明がくのいちを蔑ろにして出した答えではないことを、くのいち自身も理解していた為に。


















・・・それでダアトからユリアシティへと特に邪魔が入ることなく移動していった孔明達は、早速と市長室に行って話をした。今までの経緯についてを。



「・・・そんなことに今はなっているのですか・・・」
「えぇ。まず遠くない内に外殻大地をこの魔界に降ろす事になり、和平も余程の事態が起きなければ無事に結ばれることとなるでしょう。それでまず一つお聞きしますが、魔界はどうなっていますか?」
「・・・ユリアシティの外で障気に満ち溢れ、泥状だったその地は嘘のように晴れ晴れとした光景になっています。我々が丞相に話がしたいと申し出たのはその事についてお聞きしたかったからです」
「成程、いきなりの変化に戸惑っていたという所ですか」
・・・それで一通り話が終わった後に孔明が魔界の現状を尋ねると、戸惑いつつも目に見えた改善があったと共に話をしたい理由がそこにあったとの市長の返しに頷きを入れる。
「その事に関しては我々がやったことではありますが、あくまでも長くても十数年がいいところの間に合わせの代物だというのがディストの見立てです。根本的な解決はまだ少し先になることは承知してください」
「は、はい・・・分かりました・・・」
その上で孔明が簡潔に間に合わせであることを説明し、市長は動揺しつつも頷くしかなかった・・・ハッキリ言葉にこそされはしなかったが、孔明が口にしたのは障気が無くなるなら預言通りにしても大丈夫だなどという考えを持つ事にならないようにするための予防線だったために。
「・・・しかし、ローレライが地核にいたなどとは・・・」
「我々としてもローレライが地核にいるとは思ってはいませんでしたが、証拠はあるとは言えローレライがこちらの言うことを確実に聞いていただけるとの保証はありません。ローレライと話が出来るならしたいとは私も思ってはいますが、向こうがどのように反応するかの予測が出来ない上にどのような目的があるかが分からないので、何かあったとしても言うことを聞かせることは難しいと思っておいた方がいいでしょう」
「っ・・・そうですか・・・」
ただふと市長が口にした言葉にすぐさま孔明が補足を入れると、何とも言いがたそうに表情を歪める・・・ローレライならこの状況を自分達の望む通りにしてくれるのではという想いをすぐさま潰される形になって。









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