軍師と女忍、見切りをつける

「・・・ちなみに一つ聞きたいんですが、ルークは大丈夫だったんですか?ガイの事を目の当たりにして」
「ん~、別に問題無かったよ。特に騒ぎ立てる事もなかったし・・・と言うかもうルークも覚悟はちゃんとしてたんだろうね。ガイの事を知ったことから。だから今頃はもうガイが死んでいるとは知ってはいるだろうけれど、複雑な気持ちはあってももうそんな取り乱すことなくいられてはいると思うよ」
「そうですか・・・そうなら大丈夫そうですね」
そんな時にイオンがルークの状態についてを聞いてきた為、くのいちが自身の予想も交えつつ大丈夫だろうと返すと安心したような微笑で返す。
「・・・しかし改めてお聞きしますが、よろしいのですか?ルークを生かすと決めたとは言え、後にアッシュに生存がバレる可能性も無いわけではないでしょう・・・言い方は悪いですし騙し討ちのような形になるのは承知の上で言いますが、本当に彼を殺す方が手っ取り早いと言うのは貴殿方も理解している筈では?」
「ん~、別に私もそうだし旦那様も危険ならって普通に何もしてない人を殺すような選択をするつもりはないよ。それに助けておいて都合が悪くなったから殺しますなんて選択をするような人だったら、私はあの人の事を旦那様だなんて呼ばなかっただろうしね~」
「・・・貴女自身の気持ちに丞相への信頼があるからこそ、今更そのような選択することはないということですか」
「そういうこと~♪」
ただそこでジェイドがここでルークをいっそ殺す選択はないのかと聞くが、くのいちが笑顔でそんな選択はないと孔明の事も引き合いに出して返すと重く頷く。



・・・今となってはちゃんと籍も入れて立場的に夫婦となっている孔明とくのいちだが、最初に会った頃は敵とは言わずともあまり友好的な関係ではなかった。

特に最初に孔明にコンタクトを取った側のくのいちからすれば、かの大陸に置いて名を馳せた希代の軍師である諸葛孔明という存在が自分の思想に沿うような存在なのか・・・そして自分と敵対するような存在なのかを見極めるため、静かに腹の探りあいを孔明と相応の期間を行ってきた。

だがそういった心理的なやり取りに置いては忍であったくのいちより歳を重ねていた分もあって孔明の方が上手であったこともそうだが、何より狙いを逆手に取って孔明が自身の考えを余すことなく口にしていったことがくのいちの心を掴んだ。自身がこうしたいと思っていた未来と繋がる事もそうだが、それ以上に孔明という人物を好ましいと思ったが為に。

故にくのいちは孔明と主従関係を結ぶと同時に、このオールドラントという場での夫婦になることを選んだのだ。男女が近くにいて怪しまれない上、余計な政略結婚をねじ込まれて面倒な事にならないようにする意味合いも含めて。



(・・・まぁ旦那様は私が気に入らなければいつ裏切っても構わないなんて言ってくれたけど、少なくとも私は裏切るつもりはないしね~。それに元のお嫁様には悪いけれど、今はこの立場が心地いいし・・・その分はちゃんと働くから勘弁してくださいね~、月英さん♪)
それでくのいちはかつての事を思い出しつつ、孔明と共にいることについてを軽い口調で前の奥さんに対して謝る・・・一応この関係は契約といったような建前に二人の中ではなっているが、それでも孔明と夫婦でいる事に居心地の良さを感じている事は確かだったために・・・









next story









.
17/18ページ
スキ