「ただそんな彼を取り巻く問題の中で最も厄介だったのは、やはり目的が目的であった為とは言え決して自分からガルディオスだと明かそうと考えてくれなかったことです。所々甘いところもありましたしある程度は悩んでいるといった様子で、マルクトにも押し込めた形とは言え戻したのに結局はガルディオスだとも復讐を諦めマルクトに戻るとも決めず・・・だからこそ貴方に会わせることもそうですし、ルークもこの場に来ていただいたのです。彼の本音を引き出すために」
「・・・その考えに私は乗せられ、ガイラルディア様だと知ったというわけですか・・・ですがそのレプリカを利用するとは、貴方も随分と酷な事を選択する・・・私と会うことも含めて色々と・・・」
「確かに酷な事をしてもらうように要求したとは思っていますが、それでも彼には全てを話した上でこの場に来るかを選択していただいたのです」
「・・・何？」
しかし全てがうまくいった訳ではないからこその今だと孔明が言い、ヴァンは思いきったとルークを見ながら言うが当人が了承したからとの答えに訝しげな視線に変わる。
「流石にこんな場に来てもらうのですから、事情の説明もそうですが覚悟はしてもらわねばならないと思っての事ですよ。特に先程の会話ではそうはならないようにと注意はしていましたが、ガイがいきなり気を違えて襲い掛かってくる可能性も全く有り得ない事ではありませんでしたからね」
「・・・それは確かに全く有り得ないとは言い切れなかったでしょうな。ですがこのレプリカはその可能性もそうですが、ガイラルディア様が殺されることも有り得ると知った上でここに来たと・・・」
「そうなります」
「ちょっと待った・・・少しだけ師匠に俺の言葉で話をさせてくれ」
「・・・分かりました」
孔明はその意味についてを話していきヴァンも納得するのだが、そこでルークが意を決したように自分が話をしたいと切り出したことでそっと頷きヴァンの前を空ける。
「・・・師匠・・・貴方が俺の事を『ルーク』としてじゃなく、単なるアッシュのレプリカとしてしか見ていないことは今までの旅で聞いてきましたし今の話の中でももう嫌だと言うほど分かりました・・・ですがそれでも言わせてもらいます。今までありがとうございました・・・」
「ありがとう、だと？そこまで聞いておいて尚私に礼を言うなど、頭でもおかしくなったのか？」
「・・・師匠にとって俺は使い捨ての駒みたいな存在だったのは、もう承知しています・・・ですが俺にとって生まれてからの七年の間、俺にとって貴方が誰よりもいい師匠だった事に変わりはありません・・・本当なら今すぐに全て嘘だってなってほしい気持ちもあります・・・でもそうは望めないというのはもう分かっています。だから最後に言いたかったんです・・・師匠って俺に思われたくないし言われたくもないかもしれないけれど、俺の気持ちに区切りをつけるためにも・・・」
「区切り、か・・・」
それで少し前に出て真剣に頭を下げた後に自分の気持ちを正直でいて不器用に口にしていくルークに、始めは嘲笑を浮かべていたヴァンだが区切りとの事に考え込むような表情を浮かべる。









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