「・・・まぁいいでしょう。ガイが復讐を決断するか否か、最早それは些細な問題です。もうここまで聞いてしまえば、ガイの事を大丈夫だなどと言えるはずもないとそう私は判断します」
「っ！？ま、まさか俺の事をファブレに明かすとでも言うのか・・・！？」
「いいえ、そんなことはしません。と言うより今そんなことをしてしまえば、却って事態は面倒になります。一つ例を挙げるなら、そんな貴方をマルクトが受け入れる事に加えてガルディオスとして復帰させるというような事をしてしまえば、どういうことだとなりかねません。貴方がガルディオスであることもそうですが、そんな存在をガルディオスとして復帰させた意味という物は確実に邪推されるでしょう・・・実は最初からマルクトと共謀していたのかだとか、キムラスカの内情を探る為にファブレに入り込んでいたのだろうだとかいい印象を抱けない事ばかりを言われる形でです」
「そ、そんなこと俺は・・・」
「ですが復讐を今でも完全に諦めきれていない・・・そう貴方はおっしゃいましたよね？」
「っ！」
そしてヴァンから話をガイの方に戻す孔明がこれからの事と起きうる可能性についてを話していき、復讐について口にしたことを改めて突き付けるとひきつらせたように息を呑んだ。
「・・・貴方の身の上に起こったことは同情される事であるとは言えるでしょう。ですが今の話を聞くだけでも貴方を野放しにするような選択肢は私の中にはありませんし、ピオニー陛下に話をしても同じように放っておける筈もないと返ってくるでしょう」
「そ、それは・・・じ、じゃあ俺はもうガルディオスに戻ることも、ファブレに復讐も出来ないっていうのか・・・？」
「そうなりますが、気付いていますかガイ？・・・そうして自然に復讐が出来ないと言葉にすることはすなわち、迷っているというのは心のある程度の部分までの事で、本質の根っ子の所では復讐をしたいという気持ちは結局は揺らがず変わっていないのだということを」
「っ！？」
そうしていかにもう復讐が端から見たら望まれる事ではないのかと告げた上で呆然としながら出てきた言葉を孔明が拾い上げ本質はこうだと告げると、ガイは驚愕と困惑が入り雑じった表情を浮かべ静止してしまった。
「そんなことはないと貴方は否定したいかもしれません。ですが貴方の中ではルークの事があったから迷いは生じたということは確かだとしても、復讐自体をルークがいてくれたから何もしなくていいと思わせてくれるほどの存在感が貴方の中にあったかと言われればそうではないと言うか・・・そもそもその考え方がまずズレているんですよ。ルークがこうならこういう結論を出すであったり、そうでないならこうする・・・そのような考えは結論を出し切れないなら間違いではないと言えるかと言えば、決してそうではありません。むしろそういった他人頼りで決定したことに対して自分の心の内で納得が出来なかったなら、体よく言ったところで自分の気持ちの本質から目を反らしていたという事実が残るのみです」
「そっ、そんな・・・」
「無論、様々な要素から理屈だったり復讐をするわけにはいかないといった考えに至ることが悪いと言っている訳ではありません。ですが私個人の考えから言わせてもらうならば、貴方は自分に対して真摯に向き合うことをいつしか忘れてしまっていたんですよ。最も自分がしたいことは何かと、その自分の気持ちの最も奥深くにある物が何なのかと考えようとしなかったことが貴方自身を見失わせてしまったのです」
「っ！」
・・・その上でガイがいかに自分についてを考えてなかったのかと淡々としながらも痛烈に告げた孔明の言葉に、ガイは愕然とするしかなかった。今までの一連の流れからの言葉を否定することなど、散々な精神状態のガイには出来るはずも無かったために。









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