軍師と女忍、見切りをつける

・・・そうして孔明達はガイを連れ、牢のある場へと向かった。ヴァンの繋がれている牢へと。



「・・・おや、お久し振りですね。丞相」
「えぇ、貴方も変わっていないようですね」
そうして牢屋の中でも特に奥まっている厳重な所に来た孔明は、牢の中にいるヴァンの皮肉げな笑みと声に平然と微笑をもって返す。
「え・・・えっと・・・な、何で謡将が捕まっているんだ・・・?」
「・・・ガイ・・・?」
ただそんなやり取りにガイがどういうことかと訳が分からずに声を漏らし、ヴァンもその様子に怪訝そうな表情を見せる。
「・・・さて、こうして我々がガイを連れて貴方の元に来た理由・・・謡将は想像はつきますか?」
「・・・いえ。と言うよりそもそも貴殿方が私を捕らえていた事を知らないこと自体、どういうことなのかと疑問に思っているのですが・・・」
「そうですか。まぁそれは当然です、彼は色々と知らないままにここに来たのですから・・・ですがここに彼を連れてきたのにはそれなりの理由があります」
「・・・私とガイを会わせるのが、理由・・・っ!?」
そんな姿にガイを連れてきた理由の検討がつくかを問う孔明に、話が進んでいくと途端にヴァンはハッとしたように目を見開いた。
「どうやらこうではないかとの理由があると思ったようですが、実際の答えをこちらから言わせてもらいます・・・それはガイが、『ガイラルディア=ガラン=ガルディオス』であるかどうかをこの場でハッキリとさせる為です」
「っ!?」
「・・・やはり、そういったことですか・・・」
そしてその姿を見て目的を口にした孔明にガイはあまりの衝撃を受けて顔の穴という穴を最大限に開き、ヴァンは苦くも予想は出来ていたとの声を漏らす。
「謡将・・・そう言っていただけるということはこの事に関して、そうだと認めていただけますか?」
「・・・丞相にしては珍しい言い方をしますね。その様子では証拠はないといったようですが・・・」
「えぇ。実際の所今の話は今までの旅での様々な情報からの推察にしか過ぎず、物的な証拠は一切ありません。だからこそこちらとしては貴方かガイ自身にどうであるかを自白していただきたいのです・・・彼がガルディオスであるかを」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ!!・・・い、いきなり何を言い出すんだ?お、俺がガルディオスかどうかだって?どうしてそんなことになるんだよ・・・?」
「成程、そういったように答えますか・・・」
「っ・・・」
孔明はそのままヴァンと話をして証拠がないから告白してほしいと言うのだがガイが冷や汗混じりに違うと誤魔化すように慌てて入ってきた事に、納得した声を上げつつフリングスに一瞬だけ視線を向けると当人も何かを察したよう微かに首を縦に振った。
「・・・そのように言われるのは結構ですが、そう言われるのでしたらもう貴方にガルディオスに戻る権利は無くなるものと同義になるというか、自分はガルディオスではないと自身で証明することになるのですよ。フリングス少将にさっき別れましたがカーティス大佐という、れっきとしたマルクト軍に所属していて大佐に至ってはピオニー陛下の覚えもめでたく幼馴染みという立場にあります・・・そんなお二方に今のこの場で嘘をついて押し通そうとし、後でガルディオスだなどと言って許されるばかりか元の位置に着けると・・・そう考えられますか?」
「っ!?」
そしてすかさずガルディオスと認めない上で以降に都合良くガルディオスだと切り出したならどうなるか・・・そう切り出した孔明に、ガイは盛大に息を呑んだ。ここで誤魔化して後で自分がそうだと切り出したなら、どう見ても保身の為にしか動いてないようにしか見えない・・・そうガイも今の話で感じただろう様子で。









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