軍師、暗躍と飛躍

・・・アッシュがさらった整備士を連れ戻すことに成功したその翌日。孔明達は船の準備が整った事でアルマンダイン伯爵と挨拶を交わした後、港を出港した。



「・・・お、コーメイにくのいちの二人か?イオンと一緒じゃないのか?」
「はい。船の上ということもありますし、アニスが付いているなら導師を過剰に護衛する必要はないと思ってです」
「ふ~ん。ま、んな状況じゃ堅苦しいのもうっとうしいだろうしな」
その船の中で船内の一室から出てきたルークは入口の近くにいた孔明達の姿を見つけ、軽い様子で返す。
「つーか今更だけど助かったぜ。くのいちがイオン達といてくれてよ。確かお前が一緒に行くようにって言ってくれたんだろ?」
「はい、そうですが・・・私としては導師達とルーク殿が出会った上で行動を共にしているなどとは思ってはいませんでしたから、礼を言われるのでしたら彼女にお願いします。ある程度の話は聞きましたが、彼女自身が判断したことと私は聞いていますから」
「あ~、んじゃあんがとなくのいち。本当にお前がいなかったら今頃どうなってたかわかんねぇしさ」
「いえ、これまでの旅路でルーク殿を放っておくような事は出来ませんでしたので当然です」
そこから感謝しているといった話になるが孔明が対象はくのいちだと言ったことにルークは笑顔で礼を言い、くのいちは固い口調で頭を下げる。
「あ~・・・俺としちゃ別にコーメイと話してる感じっつーか、口調を崩した方がやりやすいから別にそっちでもいいんだけどよ・・・」
「そう言っていただけるのはありがたいのですが、あくまであの口調は人々があまりルーク殿をルーク殿と勘づくのを避けるためにしていた物と言ったこともありますし、このような状況ではそんなことは言えません。ましてやティア=グランツがルーク殿に許可も取らずに対等な立場と見て口調を全く改めなかった事を踏まえると、私がそのようなことはとても・・・」
「あ~・・・それ言われっと、どうもな・・・」
そんな姿にルークは砕けた口調に戻してほしいと言うが、くのいちがティアの事を引き合いに出したことで複雑そうに頭をかく。
「・・・何かあったのですか、くのいち?」
「エンゲーブからルーク殿とティア=グランツの会話を聞いていたんですが、セントビナーで全くルーク殿を敬った様子の見えない言葉遣いに私が彼女に追求したんです。ただその時はルーク殿にガイが止めた為にそれ以上は話は出来なかったのですが・・・」
「まぁ俺は堅苦しいの嫌いだから別に構わねぇとか思っちゃいたけど、言われてみりゃって思い返したんだよ・・・ティアは最初からそんなもんだったってな。まぁガイに関しちゃ人の目っつーか屋敷の人間の目がないところでって話だったから別に気にしちゃいねぇんだけど、ティアは何も言わずに最初からそうだったって思ったんだよ。俺の立場とか全く気にしないっつーか、大したことじゃないみたいな感じに思ってるんじゃないかってな」
「・・・何を思ってというか、何が判断基準なのでしょうかティア=グランツの人を見る目は・・・」
孔明は若干嫌な予感を感じながらもくのいちに話を聞くが、ルークも今となってはティアに舐められてるんだろうとばかりに思ったと言ったことに心底から呆れた声を上げる。ティアの行動はどう考えてもまず正しい物ではないと思った為に。











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