軍師と女忍、見切りをつける

「一応はガイに直接的な話をすることはないようにしながら話をした。主な話の中身としてはマルクトの居心地もそうだが、キムラスカへ戻りたいかと問い質すものだが・・・その中でファブレへの敵意を確認するためにな」
「その結果として、ガイは駄目だとの判断を下されたということですか」
「まぁな・・・最初は穏やかに話を進ませていた、酒を進ませながら世間話程度に話を聞くようにな。そして次第にキムラスカの方へと話を進ませた上でファブレへの想いを聞いていったが、酒の効果があったことからだろうが次第にガイは本音を口にしていった。流石にファブレへの復讐に自分がガルディオスだということは明らかにはしなかったが、不平不満に・・・所々で殺意を滲ませたような表情を浮かべてな」
「そういったことを聞けて見れたのは良かったと言えるかもしれませんが、陛下自ら酒を持ちかけられるとは随分と豪気な事を・・・」
「自分で自分の性質は分かっているつもりだが、軍人や貴族などに任せてもガイが素直に気持ちを吐いてくれるとも思えなかったんでな。だから誰も酒を飲んでくれる相手がいないからと気軽に言えば、ファブレにいた時の事を聞き出せるだろうと考えたんだ。俺なら酒の相手の無心をすることもそうだが、軽い気持ちで愚痴を吐いても許されるだろうとガイが判断すると見てな」
「それらもまた折り込み済みであったということですか。そしてガイならそのような事になっても、陛下に手をかけるようなことはしないと見ていたと・・・」
それでピオニーがどのようにしてガイと話をしたかについての経緯を話すと、孔明は感心したように称賛の言葉を漏らす。皇帝として大胆な事を平然と、それでいて計算して行動したことに。
「そういうことだが、そうして話をした俺はもうガイを信用することなど出来るはずがないという結論が出た。酔ってもガルディオスであることは口にしようとはしなかった上に、ファブレへの敵意は未だに根強く存在している・・・今はまだいいだろうが、やはり唐突にバチカルに向かい復讐を遂げようとする可能性は否定は出来ん。これがまだファブレへの復讐を絶対にしないと言える決意が見られたのなら、俺も一考していたのかもしれんがな」
「成程・・・ではガルディオスの事はどうあれ、もうマルクトへ帰すような事はしなくてもよろしいと思ってよいのですね?」
「あぁ、どうなったのかの結果さえ報告をしてくれればいい・・・そちらがガイを扱いきれるならそちらでガイを引き取ってもらっても構わないと言いたいが、そうするつもりはあるか?」
「いえ、ありません。謡将がいない神託の盾でガイが誰かの下に着くのはまず有り得ないでしょうし、まず何故ダアトに行かねばならないと不満を漏らすでしょうが・・・何より陛下がおっしゃられたように復讐の為にとファブレに向かわれたなら、それこそ目を当てられない事態になります。それに例え成功しなかったとしても、こちらはティアという前例を出してしまったことからキムラスカとの関係が悪化することは避けられません。特にアッシュは我々に対する報復を口にし、戦争の流れに一気になりかねませんから」
「成程、なら別にそれでいい」
その上でガイに関しては見放すとハッキリ決めた上で何なら使えると思うなら渡すとピオニーは言うが、孔明がきっぱりと否定を返したことにすんなりと納得する。どちらの陣営・・・ダアトの方は尚更になるが、ガイを引き込んでも得など一切ないということに。









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