軍師と女忍、押さえ付ける

「そのようなことから、もう彼に完全に心構えから変わってもらいたいと考えるのはやめた方がいいでしょう。先程申し上げたように私に多少は悪感情は向けるようにと誘導はしましたし、そういうものだと認識した上で接することをお勧めします。変えることを望むにしても精々が『ルーク=フォン=ファブレ』として戻ると決めた矜持をくすぐり、キムラスカにとって望ましくない事態は何かと教え込んで感情的にならないようにと徐々に変える事を望むくらいがよろしいかと」
「・・・一気に変えようなどとすれば、それだけのしっぺ返しが来るということか・・・」
「はい、まず間違いなく」
「・・・分かった、その事をよく承知の上で動かせてもらおう。そして私と陛下が命がある内は妙なことが起こりさえしなければ、ダアトと戦を起こすことのないようにさせてもらうしアッシュの方向修正もさせてもらう。ただ流石に我々が亡くなった後まではアッシュの性格を考えると、確実に大丈夫だとの保証は出来ないが・・・」
「いえ、そう言っていただけるだけでもありがたく思います」
そうしてアッシュに対する助言を送るくのいちに公爵は頷いた上で自分がやることを口にし、その誠意に頭を下げる。やれることはやるという気持ちを公爵から真剣に感じ取れた為に。
「済まぬな・・・取り敢えずは城に戻ろう。そちらも休息であったり丞相に報告をせねばならなかったりと色々あるであろうからな」
「はい、参りましょう」
それで公爵が礼を言って戻ることを口にするとくのいちもすぐに頷き、二人は城へと歩き出す・・・









・・・それで城に入って公爵と別れたくのいちは用意された部屋へ向かい、そこで先程の話を孔明に行った。



「・・・成程。公爵にそう言っていただけたと言うなら、一先ずお二人が存命の内は問題は無さそうですね」
「まぁ色々話をしたんでそうなって以降もアッシュが問題を起こすかどうかは微妙にはなるとは思いますけど、改善の兆候が見られない時の予防にとアッシュとナタリア様の在位期間を減らすようにさっさと子どもを作るようにとは言うでしょうね~」
「その辺りは我々には関係ありませんよ。勿論アッシュもそんな形で除け者にされるとなれば抵抗はするでしょうから、一筋縄ではいかないでしょうね」
「まぁその辺りは頑張ってくださいとしか言えませんよね~。私達はもうそれ以降は関わる気にもならないですし」
それで話をし終えるのだが、一悶着起きるだろうが関係無いと言ったように気楽に二人とも会話をしていた。伝えるべきは伝え終えた以上、もう旅が終わって以降まで関わることなどないために。









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