軍師と女忍、押さえ付ける

「・・・取りあえずは以上ではあるが、明日にまたアッシュとナタリアも含めて謁見の間にて二人に聞かせてはならぬ話を除きしてもらうが・・・後で念には念を入れて、二人と一度話してはもらえぬか?」
「二人に、ですか?」
「うむ・・・一応これ以上我々とそなたらに無理を言わぬとは思うが、アッシュの方は出来る限りの時間をあまりキムラスカに縛られたくないとそなたらに付いていきたいと言って、ナタリアがその言葉に乗っかろうとする可能性は高いと見ている。故にこの後にそちらから話をしてもらいたい・・・我々がただそうするなと言ってもそなたらがそうは言ってないから行ってもいいだろうなどと言われても、妙な時間がかかってただ面倒になるだけなのでな」
「分かりました、この後で公爵の許可をいただけたらになりますがファブレ邸に妻を送り話をしてもらいます。構いませんか、公爵?」
「えぇ、それは構いませんが何故奥方に話をしてもらうと?」
「経験上アッシュは私が相手となれば身構えて時間を取りかねません。それに私が行くとファブレの屋敷が大袈裟な騒ぎになりかねませんので、あくまでも二人と話すだけであれば妻一人の方が身軽で良いと思いましたので」
「そういうことでしたらこの後で私が屋敷に案内しましょう。この後少しなら時間はありますので」
「ありがとうございます。ではくのいち、後はよろしくお願いします」
「はい」
それでインゴベルトは話は終わりとしつつ二人への話を孔明に願い、その役目をくのいちに任せるとすると公爵に話をした後に本人に頼むとすぐに頷いた。









・・・それでそこで場は解散となり一同は会議室から出て、その中でくのいちは公爵と共にファブレの屋敷へ向かった。



「・・・済まぬが、少しいいか?」
「はい、何でしょうか公爵?」
それで城から出て噴水の前に来た所で公爵は立ち止まって振り返りくのいちに伺いを立て、どうしたのかと返され表情を重くする。
「・・・率直な意見を聞かせてもらいたいが、アッシュが今も『ルーク』という存在に戻ることに難色を示しているのは私も分かってはいる。だがそちらから見てこれからアッシュが『ルーク』として、問題なく生きるようになると思えるか?」
「・・・率直にとおっしゃられたのでお答えしますが、何の憂いも問題もなくアッシュが気持ちを切り替えることが出来はしないでしょう。丞相の策により今の状態より大分まともにはなるでしょうが、だからと言って今までの全ての事を水に流すとは言わずとも涼しい顔でいられるとはまず思えません」
「やはりそうなるか・・・そしてそれはそちらだけでなく、我々に対して思うところがあるからか・・・」
「はい。旅の最中の私達の話は度々お聞きになってアッシュがこちらを気に入らないというのは分かっていると思われますが、やはりキムラスカに戻れないと感じたのはその時に謡将による働き掛けがあったとは言え、その時のキムラスカがアッシュに取った行動にあるかと」
「やはりそう、か・・・」
そして意を決したと言うようにアッシュについての考えを素直に聞かせてほしいと公爵は言葉にし、くのいちがその要望通りに素直でいて辛辣に思える言葉を口にすると重くうつむく。孔明達だけでなくキムラスカにも理由があると、ハッキリと改めて認知せざるを得なかったその言葉に。









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