「ナタリア自身、それらの話を聞いた時は愕然としていた。我々が預言に詠まれた繁栄の為にアクゼリュスへルークを派遣したことに、以降にどんな事が起きたのかを丞相達から聞かされたことに。そして同時に我々を叱責もしてきたが、ナタリアの立場がまずいこともそうだが何よりそなたとここにいないルークの事についてを聞くと酷く動揺した・・・やはり二人の入れ換えの件は相当に衝撃であったようだからな」
「っ・・・！」
「それで、ナタリア様はどのような反応をなされたのですか？」
インゴベルトはナタリアが話を聞いてどんな反応をしたのかについてを話していき、アッシュがたまらず苦い表情を浮かべる中で孔明は先を促すような言葉を向ける。
「・・・色々と話をした上で、この場にいないルークの事については仕方無いという風に首を縦に振らせた。話を進める内にルークに対して複雑な想いと共に、どうにかキムラスカに戻ってきて欲しいという気持ちを見せたが・・・やはりそちらのルークがキムラスカに戻ることを考えれば、それは出来ないと言わざるを得なかった。何せ理由が理由なだけにな・・・」
「えぇ、確かにルークを殺さなければ自分はキムラスカに戻るつもりがないといったような言葉を考えれば、共に戻ることは無理だと言わざるを得なかったでしょう」
「っ・・・！」
インゴベルトはそんな言葉に若干疲れたように言葉を発していき、孔明のストレートな言葉にアッシュはたまらず歯を噛む。自らが吐いた言葉であるとは言え、こうもあっさりまるで聞き分けのない子どもをあやすためにやったことのように口にされる事に。
「・・・不満だといった様子を浮かべておるが、先程も言ったであろう。そなたがこの場にはいないルークのフリなど出来ないだろうことは。だからこそそなたの対応が必要というように言わせてもらったのだが、我々もそうだがそなたもナタリアに入れ換えの件を言うつもりは無いだろう？」
「それは、当然です！そんなことをナタリアに言ったとしたら、ただ辛いだけではないですか！」
「そう言ってくれるであろう事は分かってはいた。だからこそこの場にナタリアを呼ぶようなことはしなかったが・・・そう言うからこそそなたがこれからどう動くかが肝要になる」
「っ・・・！？」
そんな反応には触れずに話をインゴベルトに進められてナタリアに対する情で叫ぶアッシュだが、厳かな表情を浮かべるその姿と話の中身にそっと冷や汗をかく。これから何を言われるのかというよう。
「ナタリアは一応は全てを受け入れ、対応するとは言ってくれた。そなたのみがキムラスカに戻るという点に関してもだ。だがそれでも不安は残る・・・ナタリアが何をしでかすか分からないという不安がだ」
「・・・もしや、叔父上はナタリアにそういった行動が見られたら私に止めるように動くようにとの心積もりでいるようにと言いたいのですか・・・？」
「そういった気持ちもあるが、それ以上に重要なのはそなたもナタリアの秘密を知った上で責任があるのだと自覚してもらうことだ」
「え・・・？」
ナタリアはいかな状態に不安があるのか・・・そう言葉にされてアッシュはストッパーとしての役割を求められてるのかと考えるが、自身にも責任があるとインゴベルトから返され戸惑いの声を漏らす。
「今そなたはナタリアの秘密を一方的に知ってしまっているという負い目を感じた上で、出来るだけそれを言いたくないしそういった状況にしたくはない・・・という気持ちを抱いていることだろう。そういった気持ちを持つこと自体は別に構わないと言いたいが、いざそうするべきだとの判断が必要な時にそなたが情に引きずられてそうしない・・・となればどうなる？」
「そ、それは・・・」
「・・・そうなれば、どう少なく見積もってもキムラスカに難が訪れるのは避けられんということだ。他ならぬナタリアの手によってだ」
「っ！」
その上でもし下手にナタリアが行動を起こした時に情けから行動を起こせなかったならとインゴベルトが口にした中身に、アッシュはひきつったように息を呑んだ。他ならぬナタリアがキムラスカに苦難を与え、自分がそれを見過ごすという状態になり得ると言われて。









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