軍師と女忍、押さえ付ける

「心外だと言った様子だが、今までの経緯を丞相達から聞いて我らと話をした上で自分なら大丈夫だ・・・ハッキリそう自信を持って言い切れるか?」
「そ、それは・・・ですが、ナタリアに言うまででは・・・」
「・・・ナタリアに言う必要はなかったと、本気で思っているのか?」
「え・・・?」
インゴベルトはそんな姿に自信についてを言うとアッシュは何とかナタリアの事を持ち出して反論しようとするが、言う必要についてを問われ返された事にキョトンとした表情を浮かべる。
「ナタリアの行動についてはさっきも言ったであろう。許可もなくケセドニアに行ったということを。その上で我々は丞相の奥方により戻ってきた後のナタリアのどうにか自分の意見を取り上げて欲しいという言葉を取り入れず、これまで見張り付きで外には出さぬようにしてきた・・・これに関しては我々がまた下手な事をされても困るということもあってそうした部分はあるが、それでもナタリアがまた行動を起こさないという可能性は決して否定は出来なかった」
「それは・・・叔父上の言葉なら、ナタリアも・・・」
「ならぬと何度も制止をかけた上でアクゼリュスに勝手に行かれたというのは、この場の丞相に六神将以外の面々は実際に聞いて知っている。それで次は放っておいても絶対に何もしないと確定して言える訳ではないとわしは思うが、奥方はどう思う?」
「ナタリア様が一連の流れを知ったなら、確実に我々と共に行動をすると制止を振り切っていたでしょう。全てうまくいけばそれでよしと、王女としての役割を果たすのは今こそであるというように」
「っ!」
その様子にナタリアがいかに行動を起こす可能性があったかをくのいちにも確認を取るようにその可能性について言ってもらい、アッシュはたまらず表情を苦いものへと変えた。
「そなたも少なからずは感じたであろう。ナタリアが行動を起こす可能性を。だがそもそもナタリアが行動を共にしていたなら、今のこの状態にこぎ着けていたか・・・丞相の能力ならばナタリアがいても問題は無かったかもしれぬが、そういったように行動を起こしたならばそもそもナタリアは二度目にわしの命に背いたと言うことになる・・・となれば、いかにわしやクリムゾンが貴族達をなだめすかそうとしても反感は抑えられなかったであろう。王女としての自覚はあるのかと、我々の事を気にして控え目な表現で言われる形でだ」
「それは・・・」
「そうなれば流石にこちらとしてもナタリアを罰する事をしなければならんが、丞相達に付いていって自分も平和の為に貢献したというように自信を持つナタリアがそんな声に屈するとはわしは到底思えん・・・となれば、ナタリアを止めるために最終手段を用いるしかない。ナタリアが入れ換えられた存在だという事を明かすという形でだ」
「なっ・・・!?」
「・・・一応わしもナタリアの事は血が繋がっているかどうかなど関係無く、娘と認識はしている。だからこそ一連の流れに関してを話はしても、ナタリアの真実に関してだけは話はしてはいなかったが・・・これ以上自覚もなく自分の勝手を押し通すような事を続くようであれば、もう情で見逃すことは出来ぬ。だからこそ次にそのようなことがあれば我々はその事実をナタリアに明かすつもりでいるが・・・そこで重要なのがナタリアにその他の事実を話したことであり、そなたの対応だ」
「っ・・・!」
王としての立場と、一人の親としての気持ち・・・どちらも併せ持った上でナタリアもそうだがアッシュについても考えを巡らせているといったインゴベルトの言葉に、アッシュは終始圧されつつ息を飲むしかなかった。勢いだけで返せない物を十二分にアッシュは感じてしまったが為に。









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