軍師と女忍、押さえ付ける

「陛下・・・どうしてそこでルーク様だけではなく、ナタリア様の名前まで出てくるのでしょうか?」
そして更に孔明も至って自然にアッシュを『ルーク』で様付け呼びにした上で、インゴベルトにどういうことかと聞く。
「うむ・・・そなたらがこうして行動してくれる間に話してくれた事について協議したのだが、やはりというか我々には不安が拭えなかった・・・ルークとして戻ってもらうにあたり、衝動的な行動を起こすことについての不安が」
「それはっ・・・!」
「そなたが言いたいことは分かる。そんなことをするつもりはないと言いたいのだろう。しかしここで問題となるのがナタリアの事になるが・・・そなたも聞いておるだろう。バチカルから抜け出してアクゼリュスまで勝手に付いて行こうとしたことにより、今は情報を規制された上で謹慎と言った状態にしていることは」
「それは・・・聞いてはいますが・・・俺、いや私と、何の関係が・・・」
まずはとアッシュの行動への不安、次にナタリアの状態・・・前者に関して怒りを見せようとしたが、後者に関してを聞いて慌てて口調をただし体裁を整えるようにしながら先を問う。
「今はそのようにしているナタリアではあるが、いずれはその処分を解かねばならん。いつまでも王女という立場にある人物を何もさせずにいられぬし、何より当人も話を聞く限りでは相当に鬱憤を溜めているらしい・・・そんなナタリアの状況についてを聞き、そなたと引き合わせても何も起こるはずがないとわしにクリムゾンは考えた」
「何故、そんなことを・・・」
「まず一つはナタリアがかつての『ルーク』・・・すなわちそなたと交わした約束を思い出すことを強く願っていることにある。これはクリムゾンの方がよく知っている事だが、記憶を失って以降のルーク・・・本当はヴァンによるすげ替えが行われていた訳だが、そのルークに度々記憶が戻ってないかというようにファブレの屋敷を訪れていた。記憶を取り戻せばただちに報告に行かせるようにするから、自重するようにと控え目に言ったのにも関わらずだ」
「それは・・・」
「分かっている。それが無理だったのは本物のそなたでなかったからどうしようもなかったということは・・・だがだからこそ言えることとして、そんなナタリアとそなたが会ったならどうなるかとわしとクリムゾンは話し合ったがどうしても不安要素があると言うか・・・不安以外出てこなかった」
「な、何故ですか・・・!?」
「では聞くが、そなたはナタリアに対して自分の記憶が戻ったと言うつもりというか、考えはあったか?」
「っ・・・そ、それは・・・」
そこからいかにナタリアに関してを考えたのかを言葉にしていき、その上でアッシュにいかな考えがあるかをインゴベルトは問うのだが、流れに圧されていたのもあるのだろうが途端に視線をさ迷わせだす。
「・・・もしやそなた、ナタリアにどのように接するかについてを考えていなかったな?」
「そ、そんなこと・・・」
「ならば言ってみよ、どのようにナタリアと接するつもりだったかを」
「それ、は・・・・・・」
「・・・その様子ではナタリアの事については考えていなかったようだな・・・クリムゾンと共にどうするかを考えておいて良かったと心から思えたぞ・・・」
「・・・!」
そして正確な理由、それは何も考えていなかったこと・・・インゴベルトは質問を向けてそうであることを確認して脇に控える公爵共々額に手を当て苦痛といった表情を浮かべ、アッシュは苦々しげに歯を噛んだ。ハッキリ自身の事を悪い方向でインゴベルト達に見透かされてしまったことに。









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