軍師、頭を抱える

「ですからこそ、大詠師がダアトにいない今の状況で事を進める必要があります・・・あの方がいたなら余計なことをとおっしゃるでしょうが、これからのダアトの事を考えれば何もせずとも大丈夫などと安穏とも出来ませんからね」
「・・・そうですね。今は大丈夫でもそう言ったことを続けていたら、ダアトが見放される事になりかねませんから・・・」
そんなモースに対してからダアトの未来を想うように声を上げる孔明にまた、イオンも真剣に頷く・・・本来ならダアトが見放されるようなことなどこの時勢では有り得ないのだが、まるでそうなると見越しているかのように。
「・・・少し話し過ぎましたね。一応人の往来の少ない場を選んではいましたが、あまり長く外にいては他の方々の迷惑になるでしょう。皆様の元へ戻りましょう、導師」
「えぇ、そうしましょうコーメイ」
それで話は終わりと戻る事を提案する孔明にすぐにイオンも頷き、四人はルーク達のいる施設の方へと向かう。














・・・それで港の中の施設に入った孔明達。そこでティアのやたらと畏敬・・・どちらかと言えば畏の部分が大きい視線を大半の時間を受けながら孔明は過ごした。



「・・・旦那様~、どうっした~ティアの様子?」
「話になりませんね。彼女は私にバレないよう、それでいて探るような視線を向けていたつもりでしょうが全くそれを隠せていません。あらゆる意味で経験不足な面が見えました」
「やっぱそうっすよね~、年齢に経験的な意味でお兄様♪に及ばないのはどうしようもないにしたって、旅の間の戦う様子はあっしから見たって酷かったし」
それで夜になって、孔明とくのいちの夫婦二人に割り当てられた部屋の中・・・くのいちは机に向かいながら何やら紙に書を書いている孔明に横から話し掛けつつ、愉快そうに笑う。
「で、どうしやす?戦闘の才能的に一応伸びしろはない訳じゃないし、ユリアの子孫なんて大層な血筋のオマケはあるから残しておくのも手じゃあるとあっしは思ってるですぜ」
「・・・有り得ませんね。と言うより私が彼女を救わないことを前提に話をしているでしょう?そう分かっていてね」
「ありゃ、やっぱりバレましたか?」
「それは分かりますよ。と言うより質問があまりにもそうだと理解してほしいと言わんばかりの物でしたからね」
「あはは~、これくらい旦那様には分かって当然っすね~」
そのままティアの処遇についてを聞くくのいちだが、振り向くこと無く微笑を浮かべながら分かっているだろうと言われてまた笑顔を浮かべる・・・話してる中身はティアにとって、明らかに不穏な物でしかない物だが二人は気にしない。
「んじゃ、キムラスカにはティアを引き渡して処分を任せるって事にして後は我関せずを貫くんで?」
「・・・これからの展開と彼女がどういった選択を選ぶか次第ではありますが、私の思い描く道筋では彼女の力が必要になってくるでしょう。ですがそれを理由に彼女の台頭を許すつもりはありません。ですから彼女の手綱は我々が引いていきます。彼女を調子づかせない為にも・・・その後で彼女に待っている結末については一応最後には選ばせては差し上げますよ。どちらがマシかと彼女にとっては苦渋どころの結末ではない選択をね」
「うわぁ、旦那様きっちく~♪」
・・・何故気にしないのかと言えば、二人の中で既にティアの事など結論づいているからだ。助ける余地など与えてやるつもりなどないという結論が。
表情を悪気もなく変えないまま愉快そうに話す二人だが、そのまま話す姿が一層ティアに待つ末路がろくでもない物であることを強調していた・・・そして当人はその事を知らない、この先に待ち受ける物が何なのかを・・・












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