軍師と女忍、想定外の事態に合う

「えぇ。それに事態が落ち着いてきたとは言え、反比例するようにこうして我々が自由に動くだけの時間はもうそろそろ無くなってきます。勿論貴女に任せてガイや謡将の事を片付けてもらってもいいかとは思いましたが、この問題に関しては直接的に私も関わりたいと思っています」
「ありゃ?旦那様は何かガイに関してこだわりか興味かあったんで?」
「興味本意という言い方は語弊がありますが、敢えて言うならそのようなものです。ファブレという一族郎党を殺した不倶戴天の敵の元に復讐の為に身分を偽って入り込みはしたものの、何年もの月日を経て幾度か絶好の機会はあったであろうはずなのにそれを果たせなかったのは何故か・・・実際に聞いてみたいと思ったのです」
「あ~、まぁ旦那様に私達の所だと敵討ちって割と直接的だとか敵対勢力に身を寄せて戦うってのが普通でしたからね~。その辺り私達の所と色々違うから聞きたいってことですか」
「そうなります」
それで孔明は自分も直々に関わりたいとその理由を話していき、くのいちも納得しように返す。



・・・孔明やくのいちの生きてきた世界に時代では、敵討ちをするに辺り雌伏の時を敵の元で待って過ごすなどといったやり方など聞いたことなどなかった。勿論世界情勢だとかの背景や個人の事情が違うことは理由にはなるだろうが、それでも敵討ちを数年以上も雌伏の時を待って行うのは孔明達からして有り得ない事だった。

現に孔明は代表的な所ではかつて主君と仰いだ人物の配下に敵国の主君に一族郎党を皆殺しにされた猛者が加わった後に相手を殺したいといった旨の話を聞いたこともあるし、くのいちも何度も敵討ちだったり主張の食い違いによる対立で戦に駆り出されてきた。

それに話を聞くだけでなく、孔明自身もその猛者が憎んだ相手を幼少の頃の経験から快く思わなかった事もあった。一応は表面に出して大いに怒るような姿を見せることはなかったが、それでもその時に抱いた感情からその相手を好きにはなれないという想いはあった。

くのいちはそう言ったことに関しては周りに集まった面々の方が印象は強いが・・・やはりというかそういった人物達の事を思い出せるからこそ、直接的に恨みを抱く人物達を見てきただけにガイの隠して耐える殺意に関しては異質であると感じていた。孔明の言葉を受けたからこそ、自分達の会った強い怒りを抱いていた人物達と違うガイについてを。



「あっ。でもそうなるとどんな風にしてガイを連れ出すんですか?ルークもアッシュもその場にいさせられないって言ってましたけど」
「その辺りは追々説明しますが、まずはケセドニアに行ってルークに待機してもらった上でバチカルにアッシュを留まらせた上でグランコクマにダアトと向かい、ガイの事について決着をつけます。おそらく結果はピオニー陛下が私に処理を一任すると言ったことから、まず余程でなければガイにとって良からぬ結果になるでしょうけれどね」
「まぁ当人が今現在グランコクマで心境の変化があるような暮らしをしてるなら、そうならないかもしれないんでしょうけど・・・多分そうはなってないでしょうね~」
「だと思いますが、その流れでルークとアッシュの事も進めていきます。特にアッシュの件に関してはもう仕上げにかかりますので、それを考慮して動いてください」
「は~い、かしこまりました~♪」
そんなガイについてどういう風な流れで進めるのかをふと疑問に思ったくのいちが尋ねると、淀みなく返ってきた返答と共にルーク達の事も告げられた事に明るく声を上げて返す。いつものように緊張せず、それでいて成果を遺憾なく発揮出来るといったように。









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