軍師と女忍、想定外の事態に合う

『単刀直入に言わせてもらうが、このような形で我がルークの体を借りたのは我の事を地核から解放してもらいたいとそちらに伝えたいと思ったからだ』
「地核?それでは貴方はローレライ当人ではないと言うのですか?」
『我はあくまでも我の一部を地核から隙間を見つけて飛ばしただけの存在であり、そう長い時間は具現化は出来ない。だからこそ我を地核から出すためにそちらに手を打ってほしいのだ』
「そうしてもらいたいという気持ちはお聞きはしましたが、肝心なのはどのようにして貴方を助けなければならないのかになります。地核に貴方が存在していると知れたのはまだしもとして、そのような所にまで手を伸ばすのは手段が確立していない以上は我々もどうするか考慮する時間が必要なのですが」
『それに関しては問題ない。今からルークの手元にその為の物を渡す』
「っ・・・これは、まさか・・・!」
そこからローレライとの話を始める孔明はその目的と手段についてを聞くのだが、ローレライが言葉を発した後にルークの左手に光が発せられた後にある物体が握られていたのを見て、珍しく孔明の声が動揺に揺れた。



『気付いたか・・・それはいわゆるローレライの鍵と言われる物だ』



「・・・やはり、そうでしたか・・・」
その反応にその物体についての答えを告げるローレライに、孔明は納得しつつもルークの手に握られている鍵を興味深そうに視線を向けている。
「ローレライの鍵ですか・・・確か伝承に聞いたことはありますが、本物なんですか?」
「私が見る限りではローレライの鍵の言い伝え通りの形をしていますが・・・この鍵がどのように貴方を助けると言うのですか?」
『我はもう少しで消えてしまうが、その後にすぐという訳でなくとも構わない・・・ルークかアッシュのどちらかにこの鍵を握らせ、魔界のどこにでもいいから降り立たせてこの鍵を使う意志を固めさせてほしい。そうすれば体を操るような形になるが、地核にまで届かせる超振動を使わせる。それで私は地核から出られるようになる』
「ふむ・・・つまり地核の中からでは貴方は十全に力を発揮出来ないので、完全同位体であり超振動を使えるルーク達に外から出られる手助けをしてもらいたいということですか」
『その通りだ』
フリングスもその鍵についてを関心を寄せて孔明がどのような使用用途なのかをローレライに聞くと、その話に要点を感じ取った。ルーク達の力が必要だからこんな事をしたのだと。
「・・・話は分かりましたし、貴方の言葉通りならそろそろルークに取り付いている貴方は消える頃なのでしょう。出来ることならまだ話をお聞きしたいのですが、それが叶わないのなら一つだけ先に聞きたいことがあります」
『・・・何だ?』
「地核に何らかの理由があって入ってしまったという過程はともかくとして、その地核から出た後に何をしたいというのですか?」
『音譜帯に行くつもりだ。元々他の意識集合体も音譜帯に行って今は音譜帯の一部となっているが、我もその一部となる予定だったのだ。しかしそれも叶わず地核から出られないとなっていた所に、ようやく機会が訪れた・・・だから頼みたいのだ。我を地核から解放することを』
「そういうことでしたか・・・」
その上で消える前に聞かねばならないと目的について聞けば、平坦なようでいて切に願うような声色で話すローレライに孔明は納得したような声を漏らす。









.
8/17ページ
スキ