軍師と女忍、想定外の事態に合う

・・・そうしてシェリダンでの見送りを受けながら出港した孔明達ではあるが、特に目立った敵が来るような様子も変わったことが起きることもなくタルタロスは順調に海の上を進んでいった。そして出港して五日目になって、アクゼリュスの跡地付近に辿り着いた。



「・・・マジか・・・改めて見てみて、本当にこの大地が空に浮いてたんだって感じたぞ・・・」
「確かにこの光景は圧巻と言えるものですね。私も実際に外殻大地が降りた後の場を初めて見ましたが、やはり実際に体感すると違うと言えます」
それで搭乗した人員全員が艦橋に集まり大地が削り取られたように大穴が空いて失われている光景を目の当たりにし、ルークが唖然とする中で孔明も同じようか気持ちだと言うのだが他の面々も似たような様子であった。想像以上の光景が目の前に広がっていると。
「・・・そして、今からこのタルタロスであの跡地に突っ込まねぇといけねぇと・・・」
「えぇ、そうなります」
「・・・大丈夫って何度も念押しされてきたけど、実際に行かなきゃなんねぇってなるとあんまり気乗りはしねぇな・・・」
「ちゃんと大丈夫なように行けるようには設定はされていますし、帰りの手段も存在しています。後は気の持ちようですし、今更あそこに飛び込みたくないとごねても海に飛び込むくらいしか逃げようがありませんが、近くに接岸出来るような大地もありません・・・覚悟を決めてください、ルーク」
「分かってるよ・・・んじゃ、行こうぜ。あの中によ」
その上であの場に行かなくてはならない事に表情を重くするが、孔明の言葉にすぐに表情を引き締める。覚悟は元々してきてる身だからこそ、目の前の光景が想像以上だということを口にしただけだった為に。









・・・それでタルタロスはアクゼリュスの跡地へと飛び込んでいくのだが、そこで装置のおかげでゆっくりとタルタロスが下に降りていったことにより一同は次第に落ち着きを取り戻し、タルタロスが完全に降りきるまで待っていた。

そして完全にタルタロスが降下を終えた所で、一同はアルビオールで脱出すべく甲板の方へと向かった。



「うぁっ・・・!?」
「ルーク、どうしたのですか・・・?」
それでアルビオールに搭乗しようとしていた一同だが、ルークが突然苦しそうに声を上げて頭に手を当てたことに孔明も周りも怪訝そうな表情を向ける。
『ようやく機会を得られた・・・少し体を借りさせてもらうぞ、ルーク』
「・・・貴方、何者ですか?その言葉、少なくともルークではないことは確かではあるでしょうが・・・」
そしてそのまま光に包まれたルークから別の声が聞こえてきたことに、孔明は羽扇を向けながら何者かと問う。



『・・・我はローレライ、第七音素の集合体だ』



「「「「っ!?」」」」
・・・そんなルークの体を包む存在が自身をローレライと言ったことにより、周りの面々は一斉に驚愕の様相を浮かべた。まさかの存在の名がいきなり出てきたことに。
「ローレライ、ですか。そのローレライが一体どのようなご用なのですか?」
『・・・疑わぬのか、我が本当にローレライなのかと?』
「疑問は消えた訳ではありませんが、かといってその事を話し合うことが出来るほど我々に時間の余裕があるわけではありません。ですので貴方が本物のローレライかどうかにルークを返していただけるかどうかを聞いたり攻撃しようとするより、貴方が何の為にこのような事をしたのかを聞く方が余計な時間を取らないだろうと見てのことです」
『成程・・・では話を進めよう。我もこう出来る時間はあまり長くはないのでな』
ただ一人冷静に話を進める孔明にローレライと呼ばれた存在もどういうことかと落ち着きについて聞くのだが、焦って時間を使うより話を聞くことに集中したいとの返しに納得して自分も話すと返す。時間に余裕がないのは同じだと。









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