軍師と女忍、想定外の事態に合う

それで以降は特に誰が行きたいだとかそういった要求が出ることなく話は進み、以降は明日に備えて休憩という事になった。



「アッシュ、少し待ってください。貴方に話をしなければならないことがあります」
「・・・何・・・?」
・・・そうして他の面々が場を離れていった後で脇にくのいちを付けた孔明は街に出ていたアッシュを呼び止め、胡散臭げでありながらどこか不安を滲ませた顔と声で立ち止まる。
「他に用が無いのであれば私にお付き合いお願いしますが、用があるのであればその後にでもお願いします」
「・・・それはつまり、どうしても俺に話をしなければならんことがあるということか・・・」
「はい、そうなります。それで用はありますか?」
「・・・・・・用は、ねぇ・・・」
「そうですか、では私に付いてきてください」
そんなアッシュに話はしなければならないと逃げることを許すつもりのないとばかりの孔明の言葉と確認に、極めて不本意そうながらもアッシュが頷いた事に早速話をするべくくのいちと共に歩いていく。その後ろに浮かない表情を浮かべるアッシュが付いていく形で。


















・・・それでしばらくした後に宿に入っていった孔明達だったが、その入り口から孔明とくのいちだけが出てきた。
「・・・取りあえずは問題はなさそうですね」
「まぁそれも極めて不本意ですみたいな表情をしてましたけどね~、アッシュは」
「彼からすれば不本意であると同時に、やむを得ないといった事態に追い込まれた事になったのと同義ですからね。致し方ないと考えなければならない反面、やはり気持ちは重くはなるでしょう」
そして二人が微笑を浮かべながら会話を交わす一方で一人宿に残っているであろうアッシュの様子に関し、今は明るい物ではないといったように漏らす。
「ただ後々の事を考えれば彼にはこの事を受け入れていただかなければなりません。そうでなければ後々の禍根になりかねませんでしたからね」
「まぁ後々のキムラスカの事を考えると、どうしても歯止めは必要になりますからね~。色々と」
「どちらにしても彼にはこれからの展開として受け入れていただかなければいけません。もう賽は投げられたのですから、今からそれを変えるのはどうあっても無理ですからね」
「ですよね~」
ただそうした状況にやった筈の二人は終始笑顔を浮かべあう。アッシュからしての苦境でこそはあるが、これからを考えればアッシュにも周りの為にも必要になるのだと真剣に思っている為に。
「後はこのシェリダンから出るまで何日かまだかかりますが、それまでに考えをまとめていただきたいものですが・・・それを期待するのは酷と言うか、出来ないでしょうね」
「ですね~。現に今も神託の盾の服を脱いで着替えることも出来てないようですし。まぁアッシュの場合はもうそうせざるを得ないギリギリまでそうしないって思っておいた方がいいでしょうし」
「そうですね。少なくとも伝えるべき事は伝えましたから、後は私の関与することではありませんね」
そしてもうこれ以上はアッシュに関わる意味はないと、二人は共に言う。もうキッパリ物事を決めれないアッシュにこれ以上心を割く必要はないと。









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