軍師と女忍、対応する

「だから答えてほしいんだ~。全部を全部今の気持ちや考えを答えにしてぶちまけろとまでは言わないけれど、少しくらいはさ~」
「・・・・・・別に、大したことはない・・・確かに終わりが近いことは分かっているが、だからと言って大手を振ってキムラスカに戻るつもりにどうしてもなれないだけだ・・・」
「ほうほう。それでどうにも気分が乗らないから一人で考えてたと」
「あぁ・・・あの屑を戻すくらいなら俺が戻るといった気持ちに嘘はないが、それで全部終わった時にどうなるかを考えるとな・・・」
「ふむふむ・・・」
そんな姿にまた気楽に声をかけるとようやくアッシュも自分の内にある考えをぼそりぼそりと口にしていき、くのいちはしきりに首を縦に振り頷く。
「まぁそこに関しちゃアッシュ自身に乗り越えてもらわないといけない所なんだけど・・・何か助けてほしいこととか、手伝ってほしいこととかある?これからの事を考えると旦那様もそうだけど、私や他の皆もアッシュがキムラスカに戻るともう簡単に助言とか手助けなんかは出来ないよ?」
「・・・いや、いい・・・」
「ん~、そっか~。ならいいって言いたいけど・・・そろそろ着替えよっか、アッシュ?」
「・・・は?何故いきなりそんな話になる・・・?」
そこからいかにも親身になるというような声を向けるくのいちにアッシュは力なく首を横に振るが、次の言葉にたまらずキョトンとする。どうして自分が服を脱がなければならないのかと。
「ほら、もうアッシュはキムラスカに戻ることにしたでしょ?それなのにいつまでも神託の盾の服を着てていいと思う?自分はアッシュだ~なんて風に言うつもり?キムラスカに戻った時に」
「っ、それは・・・」
「今の状態じゃ複雑だし割り切れてないっていうのはまだ気持ちとしてはともかくとしても、もうアッシュとしての立場から離れる時は近いんだよ。そしてアッシュって呼ばれることも、もう少ししたらなくなる・・・それなのにいつまでも神託の盾としての服を着ているのが正しいと思う?」
「・・・それは・・・」
「それにアッシュは神託の盾に所属する事を選ばなかった。今までは特にそれでも問題はなかったというか敢えて注意するようなこともしなかったけれど、もう神託の盾の立場から離れてキムラスカに戻るって決めたアッシュが着るべき服じゃないんだよ」
「確かに言われてみればそうでしたね・・・これまで特に着替えなければならない事情が無かったから別に気にしていませんでしたが、キムラスカに戻るならそろそろ服装くらいは変えてもいい頃合いではあるでしょうね」
「っ・・・!」
ただくのいちはむしろ何故考えてないのかと言わんばかりに服装を変えることの意味を話していき、ジェイドも納得した様子になった姿にアッシュはたまらず苦い顔を浮かべて視線を背ける。
「・・・ん~。まぁ今日今からすぐにその服を脱がないといけないって訳じゃないけど、せめてこのシェリダンから離れる時にはその服を脱いで着替えるようにしてね~。旦那様達にも戻ってきた時には今話したことを話させてもらうからね~」
「っ・・・」
その様子に敢えて今ではなく時間制限を設けると気楽に告げるくのいちだが、アッシュは強い言葉を返せずにただ視線を背けたままでしかいられなかった。



・・・そこからは特に会話はなく、くのいちとジェイドはアッシュに別れの言葉を残した後に部屋を退出していった。









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