軍師と女忍、対応する

「・・・あぁ、見付けましたよ奥方」
「ん?どうしたの、ディスト?」
そんなくのいちの元にディストが探していたと言ったような声を上げながら現れ、表情を戻して用向きを問う。
「研究に関しては滞りなく進んではいますが、少しパッセージリングに向かってもらってデータを取って来てほしいんです。そのデータが無いと障気をどうにかするにも研究を進めるにも足踏みをするしかない状況になりますので」
「成程・・・つまりあっしに動いて欲しいと」
「はい。このシェリダンの近くにあるメジオラ高原のセフィロトに行ってパッセージリングの前でこれを使っていただきたいのです」
「ふむふむ、これがそのデータってやつを取るための譜業と」
ディストはその用はデータ取りだと譜業を取り出してくのいちへと手渡し、手に取り眺めつつ関心を向けながら言葉を漏らす。
「それをパッセージリングの操作盤の前に置いて少し待てばデータ取りは終わります。それが済んだなら私達の元に持っては来ていただけないでしょうか?」
「了解~♪そう言うことならちゃちゃっと行ってちゃちゃっと終わらせてきますか♪」
そして使い方についてに早く持ってきてほしい旨を話すディストに、軽く楽し気にくのいちは了承する。別にそう難しい事ではないと。









・・・そうしてディストと軽く話をし終えて譜業を渡されたくのいちは早速アリエッタの元へと向かった。手早くパッセージリングに向かうにはアリエッタの友達に頼るのが手っ取り早いために。



「・・・って訳なんで、アリエッタよろしく~♪」
「はい、大丈夫、です」
それでシェリダンの隅の方でアリエッタとリグレットを見付けて話をし終わると、特に反対する様子もなくすんなりくのいちに対して頷く。
「大佐やアッシュにはどう説明しますか?」
「大佐は何かあったらリグレットから説明してもらえば大丈夫だろうし、アッシュはそもそも部屋から出てこないでしょ。まぁ何かあっても私とアリエッタだけで十分だって理由つきで言えばどうにでもなるだろうから気にしなくていいだろうと思うよ」
「確かにそうでしょうね・・・まぁ特に向こうも急ぎの用事などは無いでしょうから、私や奥方に何か話しかけに来ることはないと思いますが・・・私がアリエッタと共にメジオラ高原のセフィロトまで向かいましょうか?何か面倒な事があるとは思いませんが、私より奥方がいる方が責任者としてもそうですし話も向こうは聞くでしょう」
「ん~、そうまで言うんなら待機させてもらおうかな~。別に大して難しいことでもないけど・・・気を使ってもらってごめんね?」
「いえ、貴女は役職に就いていないとは言え我々に命令しても構わない立ち位置にいるお方です。こういう時は遠慮なく我々にご命令ください。特に今は貴女が自ら動かずとも、私にアリエッタの二人でも問題などないのですから」
「そっか。んじゃよろしくね、二人とも」
「「はい」」
そんな会話にリグレットが入って来た上で自分がアリエッタと共に行くと迷うことなく見せるその姿に、くのいちも二人に任せると笑顔で頷いた。揃って返事を返すその姿を見ながら。









・・・それで二人がメジオラ高原へ向かうのを見送ってから、くのいちは再びシェリダンの街中へと戻った。









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