軍師と女忍、対応する

「・・・なぁ、ちょっといいか?」
「何ですか?」
そうして考え事をしている中、ルークが声をかけてきたことに孔明は意識をそちらの方へと向ける。
「こうして俺が一緒に行くのは別に構わねーって思ったんだけど、別に俺が一緒じゃない方がって言うかアッシュと一緒に行くのが良かったんじゃねーのか?これからの事を考えるとよ」
「それは貴方の立場からすれば当然と言えば当然の疑問ですね。そしてその疑問は間違いではありません・・・アッシュは特にやることもないだろうことや貴方と共に時間を過ごさなくていいことから、気にしていない様子でしたけれどね」
「ってことは、何か考えがあったからこうして俺を連れてきたってのか・・・」
そこからルークが口にしたのは何故自分を連れてきたのかという疑問なのだが、予測していたとばかりに微笑を浮かべる孔明の返しに理由があってと察する。
「それでは、私に付いてきてもらったのも・・・」
「えぇ、少将に事情を知っていただきたいと思ってのことです。大佐でもよろしいかと思ったのですが、私に何度も付いてきていただくのは負担になるかと思いまして少将に来ていただきました。まぁマルクトへの渡りに関してもお願いする予定ではありますがね」
「そうなのですか・・・」
そんな会話にフリングスも自分も何らかの役目があるからこそかと聞き、孔明の答えに神妙な表情を浮かべる。自分も重大な役目があるのだと聞いて。
「ただその中身に関してはバチカルに着いてからお話を致します・・・今はこのアルビオールの乗り心地を堪能しましょう」
「っ、えぇ、そうしましょう・・・」
しかし今はその中身を話さないでいいだろうといったように孔明は言うが、操縦席に座りアルビオールを運転するギンジに意味深な視線を向けた事にフリングスもハッとして頷いてルーク達に視線を向ける・・・この中の唯一の部外者であるギンジに話を聞かせてはいけない。そういった意図を察しての行動であり、ルーク達もその意図を察して静かに頷いた。









・・・一方その頃、シェリダンのくのいち達へと場面は移る。



「ん~、そろそろ旦那様がルークにどうするのかっていう話をしてる頃かな~。まぁそろそろ必要な頃だしね~」
シェリダンの街を見下ろす灯台の下、一人で過ごすくのいちは誰も近くにいないのを察知しながら気楽そうに言葉を口にしていく。ルークにとってもそうだが、アッシュにとっても分岐点になる事態が近い事から孔明が仕上げに入るだろうと。
「ただやっぱりって言うか案の定ではあるけれど、アッシュが微塵も疑う様子を見せないし何も私や旦那様を含めて一切近付いて来ないって言うのはいただけないよね~。多分アッシュからしたら都合のいい部分だけ信じて、それ以外は自分が好かないから信じないって所なんだろうけれど・・・そうして都合のいい部分だけ信じるってことは、そういう部分を理解して利用されるなんてことがあるのにね~。その辺りを理解してないと言うか考えようともしてない辺り、いいように転がされ過ぎてるよねやっぱり。いくら真実混じりの嘘が入っていて、判断が難しいって言ってもさ」
そしてその流れのままにアッシュに対して手厳しい言葉を口にしていき、くのいちはそっと微笑む。アッシュを馬鹿にするような笑みで。









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