軍師と女忍、対応する

「しかし、アッシュがそのような事をされていたとは・・・キムラスカに帰りたくないという要素の中には、そういった仕打ちを受けたからというのもあったのでしょうね」
「それは間違いないでしょうね」
「ちなみに丞相はその事は・・・リグレットから聞いていたでしょうね」
「えぇ、一応は」
ジェイドはそんな会話でアッシュの受けた仕打ちについてを口にした上で孔明に質問を向けると、肯定の頷きが返ってくる。
「今までその事についてを話さなかったのは何故ですか?」
「一応この話はキムラスカの暗部に関わることです。ダアトに所属している私が知っていて一々公言するのはあまりよろしくないことですからね。特にインゴベルト陛下にファブレ公爵がアッシュに何をしていたのかを知っていたことが知られたなら、一応はこちらへの協力の姿勢を見せてはいますが一気に心象が下がって以降の流れに影響を及ぼすような事は避けたいのです」
「成程・・・となれば我々もこの事については沈黙を貫いた方が良さそうですね。以降に戦争となるような流れを作り得るしこりなどない方がいいでしょうからね」
ジェイドはまた何故言わなかったのかとチクチク責めるように言うが、あっさりと切り返していく孔明の返しにすんなり納得する。



・・・ここでは普通に話されているが、孔明が言ったようにアッシュの実験の事は国の暗部と言って差し支えの無いことだ。それを事情があるから知っていたとぬけぬけ言うのは、流石にジェイドとしてもまずいことだとの認識くらいはあった。

もしその事がまかり間違って表沙汰になってしまえばキムラスカの上層部の評判が一気に下降してしまい、そうさせてしまった孔明達やジェイド達へ向けられる八つ当たり気味な敵意は相当な物になるだろう為に。


















・・・そういった会話を行った後、特色のある会話を行うことなく孔明達を乗せた船はシェリダンの港に着き、シェリダンの街へ向かった。



「・・・ありがとうございます、丞相。それでは早速我々は研究を完成させるべく、動きたいと思います」
「ちなみにどれだけの時間がかかるかのある程度の目安はつきますか?」
「我々である程度の形は為しましたので、5日以内には形には出来ると思いますし何らかがあれば連絡は致しますので心配は無用です」
「そうですか、分かりました」
・・・そして集会所にてスピノザ達を送り届けた孔明はディストと状況についてを話終える。
「ただこれで研究が終わるまでをただ待つというのも時間がかかりますので、それまでの間アルビオールに乗って各地を回ってはいかがでしょうか?」
「アルビオールにですか?」
「はい。あれなら世界各地を回るのに然程時間はかかりませんから、数日もあれば十分にバチカルにグランコクマと言った場所に向かえます。それにアルビオールの使用許可も念のためにインゴベルト陛下にお伺いを立てておいた方がよろしいでしょうからね」
「確かにそうですね・・・アルビオールを操縦される方の手配は大丈夫なのですか?」
「それはこちらから説明させていただきますので大丈夫ですよ」
「分かりました。では早速誰がどうするのかを検討しましょう」
そしてそこからディストがアルビオールを用いてしばらく動いてはどうかと言われた為、十分な理由があると判断した孔明はすんなりと頷く。メンバー分けをする必要があると言って。









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