軍師と女忍、対応する

「今更ですし聞きもしないでしょうが、これで本当に自分は大丈夫だとでも考えているんでしょうかね?キムラスカに戻るということは即ち、いずれは自身が王になりイオン様達ダアトと我々マルクトと対峙せねばならないということだというのは分からない筈ではないと思うのですが」
「今はまだ自分は自由だ、自分はアッシュなんだ・・・と言った考えが頭の中のほとんどを占めているでしょうね。自分がアッシュの内にやっていることだから、別にいいことだろうと。ただそこを指摘しても最早バチカルに戻りその座に着くまで態度は変わらないでしょうし、これから先人の目がない状況で我々の誰かと会えばまずボロが出るでしょうが、その辺りはもう我々が一々突くのは意味がありません。ですので放っておいて差し上げましょう。必要なことなら答えてくれるくらいはしますが、友好的に声をかけても彼は答えてはくれないでしょうからね」
「確かにそう思えますが・・・リグレット。同じ六神将としてアッシュの動向に関して、誰かと仲良くしていたとまでは言わずとも少しは心を許していた部下などもいないのですか?」
「いや、いなかった。任務の時でもそうでなくとも、あいつは不機嫌そうな顔を止めることなくいつも過ごしていた。と言うよりはそもそもアッシュはアリエッタもそうではあるが、ヴァンが誰かを配下につけて活動するような配置にしていなかったからな」
「まぁ元々のアッシュの立場を考えれば部下をつけるのはあまり好ましいと言えるものではないとは思いますが、それでも謡将以外に会話するくらいの相手くらいはいれば良くも悪くも変わっていた可能性もあったと思うのですけれどね・・・」
ジェイドはそんなアッシュの自覚に関する事を疑問として口にし、孔明とリグレットから返ってきた答えに改めて呆れたような言葉を口にする・・・アッシュの立場上仕方のない部分があるということを加味しても、誰か気の許せる人物がいれば変わったのではないかと。









・・・そんな会話をした後、船はベルケンドの港に着いて一行は歩いてベルケンドの街へと向かった。



「ここがベルケンドですか・・・ディストからの話にあった研究者は奥の方にいるんですか?」
「あぁ、そうだ。私も何度か顔を合わせているから、話はすんなりと進むだろう。途中までは私が話を進めるが後はアッシュ、お前が話をしてくれ。王族らしく威厳を持つような形でだ」
「チッ・・・分かっている・・・」
「ではここから先は私が案内します。その科学者がいるところは分かっていますので」
それで街の入口に来てジェイドが確認を取る中でリグレットが答えを返し、アッシュが不本意そうな返答をした後に一同は街の中心の研究所に向かう。
(・・・船の中での大佐の話に出ましたが、今更ながらに酷いと改めて言わざるを得ませんね。ルークを盛大に見下していますが、こうして見てみればアッシュの方が自分の考えを持つことが出来なかったと見てもいいのですが本人に言えば確実に怒り狂いますから言いませんがね)
そうして歩く中で孔明はアッシュの背を見ながら、その心中でハッキリとルークより下だという考えを抱いていた。アッシュには自分の考えがないと。









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