軍師と女忍、対応する

「しかし、浮遊機関とは・・・そんな物があるとは・・・」
「ん~、それはまぁダアトの中でも過去の遺産で大事にされてましたからね~。と言ってもそれも創世歴時代から大分時間が経った今だから日の目を浴びたんですけどね」
「それなんですが、どうして今なんですか?そんな創世歴時代の遺産であり浮遊機関があるなら、もっと前から注目であったり浮遊機関を用いた譜業がもう出来てもおかしくはないと思うのですが・・・」
「そこのとこはディストがいたから日の目を浴びる事になったんですよ、浮遊機関は」
「ディストが、ですか?」
そんな場にフリングスが何故今浮遊機関の事が出てきたのかと疑問を口にすると、ディストが理由と返ってきたことに首を傾げる。
「簡単に言うとディストが乗ってる浮遊椅子は浮遊機関を見付けた上で参考にして作ったんですよ」
「え・・・そう言えば慣れていたから普通に思いましたが、そもそもあの椅子は普通には有り得ない物でしたね・・・」
「はい・・・元々はディストがその浮遊機関についてを研究する予定でしたが、謡将が優先させたいのはフォミクリー技術の研究です。だからディストは浮遊機関を元にあの椅子といくつかの譜業を作った実績はあるけれどちゃんとした研究は出来ない代わりに、その浮遊椅子から浮遊機関の存在が明らかになってシェリダンに研究の為に引き渡されるという事になったんです」
「そうだったんですか・・・ディストの事から・・・」
「まぁディストの事から分かったってのはいいけど、それなら普通にディストが今作ってるやつの完成をさせることって出来ねぇのか?」
「あ・・・確かに・・・」
それでディストの浮遊椅子についてを説明した上で浮遊機関が世に出た経緯をくのいちは話し、フリングスが納得しかけた所にルークの疑問の声が出たことにハッとしたように声を漏らす。
「その辺りは浮遊機関の大きさの違いがあるんだって。ディストの浮遊椅子や譜業に関してはあの大きさだから制御しやすい造りには出来たけど、元の浮遊機関に関しては大きさが違う事に最大でどれだけの重量の物を飛ばせるかにどういった形の物を作るかだとか・・・様々な問題があるからダアトにある時は詳しくは考えることが出来ないままにキムラスカの方に渡したから、ディストが作るよりこのシェリダンの研究者の人達が作ったのをそのまま流用した方が早いと思います」
「そうなんですか・・・しかし今更になってそんな機関が世に出るとは・・・」
「その辺りはディストが目をつけなかったら、多分とかそういう問題じゃなくてこれ以上かかっても出てこなかった事も有り得ますからね。預言の内容もそうですけど、過去にこんなすごいものがあったのに、かつての人々がろくにどういったものかも把握せずにただ遺産というだけで歴史の陰に葬り去られる事も十分に有り得たと思うので」
「・・・そう考えればこうして技術や浮遊機関が日の目を見たことは、彼が行動を起こさねば有り得ぬ事だったということですか・・・」
しかしすぐにディストがそう出来ない理由を話した上で浮遊機関が世に出たのはディストからだと言うくのいちに、フリングスは何とも言いがたそうに表情を歪ませる。歴史の流れに埋もれかねなかった技術が今こうして広まり、動いていることに。









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