女忍、感じ入る

「まぁそれならそれで別に俺は構わねぇんだけど、シンクとかは今までティアとそこまで接点なかったんだしどういう風に感じたんだ?」
「そこで僕に聞く?・・・まぁ僕からしてみれば別にどうだっていいんだよね、ティアのことなんて。むしろ邪魔でしかなかったからせいせいするってのが僕の気持ちさ」
「邪魔?」
そんな時にふと今まで関係の薄かったシンクの方に問いを投げ掛けると、おどけるように肩をすくめつつ邪魔と返したことにルークは首を傾げる。
「ほら、ヴァンを襲うためにあいつがファブレ邸にまで侵入しただろ?そしてその流れであんたらがタタル渓谷に飛ばされてこういった流れになっていったけど、そもそも僕らと言うか丞相の予定じゃそんなことを計算になんか入れてなかったんだよ。実際僕らもあんたがマルクトまで来てる事にあのタルタロスで気付いた時、正直結構焦ったんだよ。何でここにいるのかってのもそうだし、それを知ったアッシュを抑えるのも面倒な事だったしでホント散々になる形でね」
「あぁ・・・そういやそう考えてみると、あの時は敵だって思ってたけどお前らからすりゃなんで俺がここにいるんだってなるよな」
「そうそう。それで丞相から話を聞いたディストからの報告を受けて、尚更に何でなんだよって気分になったのさ。やり方が拙いにも程があるし場所を選ぶセンスがあまりにもないにも程があるし、そしてあんたもろとも疑似超振動なんてオマケ付きでマルクトのタタル渓谷に飛ぶなんて誰が予測出来るって言うのさ・・・」
「そりゃ予測なんて出来る訳ねぇよな・・・」
そこからシンクが疲れたように語るティアの予想外の行動とその結果に、当事者であるルークも疲れたように頷くしか出来なかった。直接ティアに一番振り回されてきたのは、他ならないルークであった為に。
「そしてそれで一番厄介だったのは、自分が間違ってないってずっと思い続けてきた所さ・・・奥方が体でわからないなら意味がないって言ってたけれど、あの態度や考えが丞相相手にでも通じるって思ってた時点で兵士として活動出来るか出来ないか以前の問題だよ。丞相の立場もそうだし言ってることを考えれば、まず反論するのがおかしいとかそういうんじゃなく上の意向がこういうものだって分かるはずなのにさ」
「そう考えりゃあいつがおかしいってのは確かなんだよな・・・でもそれを理解してねぇっていうか、理解しようとしなかったんだよな本当に」
「あぁまで言われたんだったら、いい加減頭で考えて理解するべきだったんだよ。でもそれが出来ないしするつもりもない姿は本当に目障りだったよ。でもあぁやっていなくなってくれて清々したし、ダアトで何かやって処罰されるって結果になってほしいとすら思うよ。と言うか結構な確率でそうしそうな気もするんだけどね・・・詠師達を頼りにしようとして何か言い分を通そうとしてさ」
「やりそうだなそれ、本当に。つっても今のダアトの上ってコーメイに近い考えの奴らしかいねぇってことを考えりゃ、それはまず通らねぇだろうな」
「だから自滅してくれれば僕としては一番気持ちいいんだよね。詠師達には面倒だろうけど、丞相や僕らが手を煩わせるようなことも無くなるしね」
そんなシンクだからティアに対して徹底的に冷たく突き放したような物言いが簡単に出来る・・・ルークもまた次第に同情と言うか、同調の様子を浮かべた。シンクの気持ちがルークにはよくわかった為に。









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