女忍、感じ入る

「まぁ一応心の整理はついてはいるだろうけど、敢えて聞かせてもらうよ・・・もうティアについては見切りはつけているんだよね?」
「はい、それは・・・これまで同行してきた中でもそうですが、離れた間の話も聞く限り私が少しでも歩み寄り優しく声をかけるといったようなことをすればティアは何度でも私を頼り、すがろうとしてくるでしょう。ですがそんな事など例えもう見放すにしても、教官として鞭を取った身としては許すつもりはありません・・・もし丞相が望まれるのであれば、事故という形でティアを葬ることも辞しません」
「成程~、決意は揺るぎないってことはよく分かったよ。これなら大丈夫だともね」
次にくのいちがその意志の程を確かめるとリグレットが迷うことのないまっすぐで強い視線を向けながら返したことに、満足そうに頷く。
「そう言っていただけるのはありがたいですが、一応は彼女はその身を障気に晒してもらってまで封呪の解除を行ってもらった身であり、いずれは薬を用いても無茶はきかなくなるでしょう。それにあれだけ言ってもまだ何か反論するなり勝手に私達に付いてこようとするなりすれば、それこそもう彼女に遠慮する必要もありませんしするつもりもありません。その時には彼女には死んでいただきます・・・最早同情もそうですが、かける期待もありませんからね。彼女がどうにか私達の言うことを聞いてくれるなどという期待など」
ただ孔明はそれでも殺しはしないとは言うが、最早次はないといったように殺すことを示唆する・・・ここまで何度も何度も言葉にしてたしなめてきた筈なのに、そうして言葉にしてきた事を全く受け入れなかったティアに対していかに心が広い孔明でも最早見放す程だった為に。
「後はその時はルーク達は同席って言うか、場にいさせますか?」
「その方がよろしいでしょう。まぁいきなりティアがいなくなった後で説明しても別に皆さんは納得はしてはくれるでしょうが、その時の様子を見ていただく事で思う部分が出てくる方もいるでしょうからね。それに我々だけがその場に立ち会うのではなく、大佐達にも知っていただくことでティアが私達以外にすがりつく事に意味はないと認識していただくのに良いでしょうからね・・・そのような状況でティアの事を試してもらいますが、よろしいですか?」
「はい、問題ありません」
「それはよかった」
くのいちはそこでルーク達についてを問い、孔明がいてもらった方がいいと言ってリグレットが了承してくれるその姿に優しげに微笑む。
「では明日に備えて休んでおいてください。明日の朝にはベルケンドに向かうことについてを切り出す傍ら、ティアを試すことを切り出します。そしてその後にこの街の外で彼女を試すことにします」
「はっ、分かりました」
「では我々はこれで失礼します」
そして明日の朝についてを口にした後に孔明は会釈をしてからくのいちと共にリグレットの元を後にしていく・・・



「はてさて、明日はどうなりますことやら・・・」
「大方の予想はついているでしょう。ティアがどうなるかに関しては」
「まぁ私が楽しみにしてるのは、そのティアの姿だったり発言を見て聞いたルーク達がどう感じるかですよ。あれはあれで手本になりますからね~・・・悪い方の手本に」
「フフ・・・今のルークなら確かにティアの事を反面教師とするでしょうね」
・・・それでシェリダンの街中を歩く中で人の目に耳が遠いのを確認しながら二人は穏やかに話し合い、笑いあう。最早ティアが何かやらかすのが普通であり、それをルーク達は糧にするだろうと。









.
19/25ページ
スキ