女忍、感じ入る
「さぁ、ティア。それでも貴女はまだここにいたいと言われますか?ディストの薬の効果は確かではあるでしょうが、だからと言って安穏としていても大丈夫などとは門外漢である私からは何とも言えませんよ」
「っ!・・・たし、かに・・・大丈夫だという保証なんて、出来ないかもしれないというのは分かりました・・・ですが私はそれでも、頑張りたいんです・・・これからの為にも・・・!」
そしてだめ押しとばかりに安全の保証は出来ないと言うのだが、相当に葛藤した様子を見せながらもティアは引きたくないと口にする。
「ふぅ・・・分かりました」
「では・・・!」
「勘違いしないでください。貴女がここまで言われても引くつもりがないのが分かっただけです。ただそうまでしてでも引きたくないと言うのであれば、少し貴女に試しの機会を設けさせていただきます」
「試し、ですか・・・?」
孔明は仕方無いというように息を吐きティアは顔を明るく仕掛けるが、制止と共に試しと口にした事にキョトンとしたような表情になる。
「貴女の体調が万全でないとは聞いています。ただそれでも大丈夫だと言うのであれば、貴女が本当に戦えるかどうか・・・それを試すのです」
「それって・・・もしかして奥方と戦えと、言うんですか・・・?」
「それでもいいかと思ったのですが、本人にはまだ話はしてはいませんがその役目はリグレットに任せようと思います」
「っ、教官に・・・?」
その試しとは戦い。そう言われてティアはくのいちを見て恐る恐る確認するが、孔明がリグレットの名を出した時にくのいち以上に驚いた様子を浮かべた。
「えぇ。貴女の事を我々の中でよく知っているのは彼女ですからね・・・その彼女であれば貴女の事を大丈夫かどうかを判断するのに最適だと私は考えました」
「ですがそれは、私が教官を倒さねば丞相達と共にいることは認められないと言っているような物じゃ・・・!」
「流石に勝たなければ連れていかないなどと言うようなつもりはありません。リグレットを相手にどれだけまともに動けるか、それを彼女に証明して大丈夫だとの太鼓判がいただければ貴女を連れていきます。ただしそれで貴女が大丈夫だという結果を残さなければ・・・」
「私はダアトに戻り、治療に専念するようにしなければならないと言うことですか・・・」
続けてリグレットを選出した理由と条件のクリアはいかなものかを語る孔明に、ティアは固唾を飲むように失敗した時の事を口にするのだが・・・その姿に孔明は視線を鋭くした。
「そうなりますが・・・これはあくまで貴女に対しての最大限の譲歩案になります。今までも貴女は何度か私に妻達の言葉を自分がこうしたいからと不服に不満を申し立ててきましたが、それでも貴女を処罰するような事はせずに連れてはきました。その上で今ここで話したことが貴女の身を案じての事であり、決して貴女に悪いことをしようとした訳ではないとは分かっていますか?」
「はい・・・私がそうしないと言い出してこうなっていることは、私自身も理解しています・・・」
「それなら結構ですが・・・そのリグレットととの試しで、彼女が貴女を試しその結果・・・それこそ貴女がこれからの事に耐えられないと判断したなら、その時はもう貴女がいかに何を言おうが貴女をダアトに送り返す事を覆す事は致しません。その事を承知していただきます」
「っ、それは・・・」
「これが最後の貴女への譲歩です。本来なら試すことなくすぐにダアトへ送り返すべき重体の患者と呼べる貴女のわがままを聞くのですから、いざとなれば不満を口にしてまた無理矢理付いていく流れを作ればいい・・・などと考え行動することは、本来許されることではありません。ただその譲歩すらも覆すと言うなら貴女を試すことすらなく、ダアトに戻します・・・では改めてお聞きしますが、その事を承知していただきますか?」
「・・・はい、分かりました・・・承知いたします・・・」
・・・声色こそいつものような平坦に近いものであったが、その圧力と話の中身にティアは圧されてしまい不満を言えなくなり頷くしか出来なくなった。決して話の中身自体は高圧的な物でこそないが、道理を説かれた上で譲歩という言葉を使われそれすら無いものとするならもう話もしない・・・そう逃げ場を無くされた話し方をされては、ろくな語録のないティアでは反論のしようがなかった為に。
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「っ!・・・たし、かに・・・大丈夫だという保証なんて、出来ないかもしれないというのは分かりました・・・ですが私はそれでも、頑張りたいんです・・・これからの為にも・・・!」
そしてだめ押しとばかりに安全の保証は出来ないと言うのだが、相当に葛藤した様子を見せながらもティアは引きたくないと口にする。
「ふぅ・・・分かりました」
「では・・・!」
「勘違いしないでください。貴女がここまで言われても引くつもりがないのが分かっただけです。ただそうまでしてでも引きたくないと言うのであれば、少し貴女に試しの機会を設けさせていただきます」
「試し、ですか・・・?」
孔明は仕方無いというように息を吐きティアは顔を明るく仕掛けるが、制止と共に試しと口にした事にキョトンとしたような表情になる。
「貴女の体調が万全でないとは聞いています。ただそれでも大丈夫だと言うのであれば、貴女が本当に戦えるかどうか・・・それを試すのです」
「それって・・・もしかして奥方と戦えと、言うんですか・・・?」
「それでもいいかと思ったのですが、本人にはまだ話はしてはいませんがその役目はリグレットに任せようと思います」
「っ、教官に・・・?」
その試しとは戦い。そう言われてティアはくのいちを見て恐る恐る確認するが、孔明がリグレットの名を出した時にくのいち以上に驚いた様子を浮かべた。
「えぇ。貴女の事を我々の中でよく知っているのは彼女ですからね・・・その彼女であれば貴女の事を大丈夫かどうかを判断するのに最適だと私は考えました」
「ですがそれは、私が教官を倒さねば丞相達と共にいることは認められないと言っているような物じゃ・・・!」
「流石に勝たなければ連れていかないなどと言うようなつもりはありません。リグレットを相手にどれだけまともに動けるか、それを彼女に証明して大丈夫だとの太鼓判がいただければ貴女を連れていきます。ただしそれで貴女が大丈夫だという結果を残さなければ・・・」
「私はダアトに戻り、治療に専念するようにしなければならないと言うことですか・・・」
続けてリグレットを選出した理由と条件のクリアはいかなものかを語る孔明に、ティアは固唾を飲むように失敗した時の事を口にするのだが・・・その姿に孔明は視線を鋭くした。
「そうなりますが・・・これはあくまで貴女に対しての最大限の譲歩案になります。今までも貴女は何度か私に妻達の言葉を自分がこうしたいからと不服に不満を申し立ててきましたが、それでも貴女を処罰するような事はせずに連れてはきました。その上で今ここで話したことが貴女の身を案じての事であり、決して貴女に悪いことをしようとした訳ではないとは分かっていますか?」
「はい・・・私がそうしないと言い出してこうなっていることは、私自身も理解しています・・・」
「それなら結構ですが・・・そのリグレットととの試しで、彼女が貴女を試しその結果・・・それこそ貴女がこれからの事に耐えられないと判断したなら、その時はもう貴女がいかに何を言おうが貴女をダアトに送り返す事を覆す事は致しません。その事を承知していただきます」
「っ、それは・・・」
「これが最後の貴女への譲歩です。本来なら試すことなくすぐにダアトへ送り返すべき重体の患者と呼べる貴女のわがままを聞くのですから、いざとなれば不満を口にしてまた無理矢理付いていく流れを作ればいい・・・などと考え行動することは、本来許されることではありません。ただその譲歩すらも覆すと言うなら貴女を試すことすらなく、ダアトに戻します・・・では改めてお聞きしますが、その事を承知していただきますか?」
「・・・はい、分かりました・・・承知いたします・・・」
・・・声色こそいつものような平坦に近いものであったが、その圧力と話の中身にティアは圧されてしまい不満を言えなくなり頷くしか出来なくなった。決して話の中身自体は高圧的な物でこそないが、道理を説かれた上で譲歩という言葉を使われそれすら無いものとするならもう話もしない・・・そう逃げ場を無くされた話し方をされては、ろくな語録のないティアでは反論のしようがなかった為に。
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