女忍、感じ入る

「研究の方に関しては順調には進んでいます。ただもう少し、その研究を更に順調にするためにも手を借りたい方々がいます」
「手を借りたい、ですか?」
「えぇ。と言ってもその相手はジェイドではなく、ベルケンドに在籍していて今私と組んでいる方々のライバル関係にあるグループの方々です」
「その方々の手を借りたいとは・・・何か訳ありなのですか?そのような宿敵とも呼べる方々と手を組みたいとは・・・」
そのディストの用向きとはベルケンドに在籍する人物達の手を借りたいとの物だが、その中身にどうしてそうする必要があるのかを孔明は問う。そんなライバル関係にある者達と組むという理由は何なのかと。
「単純な話として、効率化を図る為ですよ。こちらのグループに属する面々とベルケンドに属する面々の得意とする研究の分野の違いがあり、その分野二つを掛け合わせれば研究が進む速度も精度も段違いに上がるとの事です」
「成程、そういうことですか」
「大方そう言った理由だと分かってて言われたでしょう、丞相・・・それで協力していただけますか?私達は研究の為にここから動けませんので、その方々をこちらに連れて来ていただくのに・・・」
「えぇ、そう言うことなら構いませんよ。時間が短縮されて確実性が増すならその方が良いですし、我々が行動した方がよろしいでしょうからね・・・ただ今からすぐにまた彼らを集めるのは少し面倒になりますから明日にでもそうすると共に、この際ですからその時にティアについてもダアトに戻ってもらう為の手筈を整えましょう」
「ティアに帰ってもらう、ですか・・・」
その訳についてを話すディストに孔明は快く返答するのだが、ティアも一緒にとの中身を口にした様子に納得の様相を浮かべる。
「貴方も話には聞いていたとは思いますが、もう彼女にしていただく事も特にありません。そして何よりも私自身も感じたことですが、彼女をこれ以上手元に置くことの厄介さを考えると出来るだけ早く帰っていただいた方がいいと思いました」
「丞相がそのように考えられることは当然だとは私も思いますが、彼女が不平不満を口にすることもそうですが無理矢理にでもここにいようとしたり抜け出そうとした場合は・・・」
「その時は彼女を処断します。リグレットにも協力はしていただきますが、彼女の実力を考えればまずリグレットが仕損じることはないと見ていますし一応は彼女の身の上を案じての事という大義名分もありますし、一応は私からの直々の命令にもなります。それでも逆らうというのであれば、もうそれは反逆だとハッキリ伝えますよ。これまでのようにお情けによる陳情はもう期待出来ないともです」
「それで素直に言うことを聞けばまだいいでしょうが、まず間違いなくごねるでしょうね。ティアの性格を考えれば」
「一応この後に彼女に話をしに行くようにはしますが、その辺りも含めてよく言い聞かせはしますよ。それでどう判断するかまでは強制はしませんがね」
「強制はしない、ですか・・・そうした方が却って彼女が生きれると思いますが、まぁその辺りは本人次第ですからね」
そこからハッキリ言葉にこそしないもののティアを惜しいと全く思っていない口振りで話をする孔明に、ディストもまた敢えて止める気はなくどうでもいいといったように返す。ティアに対して思い入れが無いのはディストも同様の為に。









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