軍師、移動する

「えぇ。ですがキムラスカに戻り我々と関係が薄くなるとは言え、アッシュに諫言を送れる存在というものがいないのはあまり良くない事と言えます。今はまだキムラスカにインゴベルト陛下にファブレ公爵がおられるとは言え、彼が今のまま特に成長しないと言うのであれば、いずれはキムラスカはダアトにマルクトの驚異となる可能性は大いに有り得ますからね」
「ではどうするのですか?現状ではお二人以外にアッシュに何かを言える存在などキムラスカにはいないはずですが・・・」
「その件に関しましては勿論策はあります。後にルークを生かすための物も含めて、ね・・・」
しかしとアッシュの危険性は将来的にそこにあると言う孔明にシンクはならどうするのかを聞くが、自信を覗かせた微笑みを浮かべる。万象一切抜かりない、と言った様子で。


















・・・そのようにして孔明がまた策を練っていることなどアッシュ当人もそうだがジェイド達も知るよしなどなく、タルタロスは数日後にバチカルへとその身を港へと着けた。



「・・・成程、そういった事情でこちらに来たと言うことか・・・」
「はい。つきましてはシェリダンにてタルタロスまで向かわせていただき、研究を行わせていただきたいのですが・・・」
「それに関しては問題ない。こちらから先にシェリダンに対しては手紙を送り、そなたらに場所の提供もそうだが技術者達に協力するようにとの指示は出させてもらおう」
「ありがとうございます、陛下」
・・・それでタルタロスをバチカルから少し離れた所に置き、そこから歩きで街に入って城に入った孔明達。その際に多少の準備の為に待たされはしたもののの、順調に入城してインゴベルトに公爵と謁見することが出来た。
そんな状況の中でシェリダンについての話をするのだが、あっさりインゴベルトからの許可が出たことに孔明は恭しく頭を下げる。
「後はシェリダンに向かうだけであり、そちらも急ぎたい所ではあるだろうが・・・今日はこちらに泊まられるとよい。長い船旅で疲れも溜まっておられるだろう」
「・・・私はよろしいですが、他の方々はどうですか?」
「私も構いませんが・・・他に反対する方はおられないようですね」
「っ・・・!」
「・・・そのようですね。では今日はお招きに預かります」
ただそこでインゴベルトが泊まるようにと勧めてきた事に孔明は周りにどうするかを尋ね、ジェイドが大丈夫と答える傍らで苦々しく歯を噛むアッシュがいたが孔明はそうすると平然と返した。



・・・それで部屋を用意されて後は休息を取るだけとなっていた孔明達だったが、その影で一つの動きがあった。



「・・・何の用だ、丞相・・・と言いたい所だが、アッシュをこの場に呼んでいないと言うことはアッシュ絡みの用件・・・それもアッシュ本人には聞かれたくない事だと言うのは分かるが・・・」
「はい、その通りです」
・・・全員が部屋に入った後に孔明は兵士に再びアッシュを除いた面々で密かに会談出来るようにしてほしいと伝えるよう願い、インゴベルトからの了承が得られたことによりアッシュを除いた一同は城の中の会議室に再び集まった。
その中でインゴベルトがアッシュが理由だろうと半ば確信したように聞くと、孔明はすんなり頷く。









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