軍師、移動する

「そして自分で言うのもどうかと思うかもしれませんが、その大佐は私がどのように考えているのかを読みきれてはいないと見ています。その証拠が先程の挑発めいた態度です」
「・・・死霊使いから見ればそういった丞相と自分の違いが分からないからこその態度だったということ、ですか・・・」
「えぇ。ですが彼がダアトに来て私の配下になるというならともかく、そんなことを決断すると言うのはマルクト内で彼は居心地がいいと考えているでしょうからまず有り得ないでしょう。そんな人にわざわざこういった指導をする理由は私にはありませんし、何より当人はどういうことかと訝しむばかりか得体の知れない言葉に従うものかと表向きは従うフリはするでしょうが・・・実際にはまず教訓にはしないでしょうね」
「確かにあの男が素直に人の言葉を受け付けるような人物だとは思いませんね」
「えぇ。ですから彼の言動に一々反応する必要も真摯に対応する理由もありませんので、貴方も彼の言動に心を乱す必要はありませんよ。どっちみちその役目は少将が自ら負ってくれますからね」
「・・・そればかりは少し不憫な気がしますね・・・」
だからこそジェイドに必要以上に何かをすることはないと言う孔明だが、フリングスが気の毒になる展開が待っていることにシンクは少し口元をひきつらせていた。予定は残り少ないとは言え、そんなジェイドにハラハラさせられるフリングスの心中を思って。









・・・ジェイドの行動に対して様々な思いが交錯していたタルタロスだが、そんな当人達とは関係無く海の上を進みケセドニアへと辿り着いた。



「さて・・・こうしてケセドニアに辿り着いた訳ですが、ここで食料の補給でもするのですか?」
「それも無いわけではありませんが、まず理由の1つとして私の配下の兵の大半に通常の定期船に乗っていただいてダアトに帰ってもらうようにするためです。アクゼリュスの救助が終わった事に謡将達という障害もない以上、トリトハイム殿の指揮下にて彼らにはダアトの安寧の為に尽力していただいた方がよろしいでしょうからね」
「ダアトの安寧、ですか・・・」
ケセドニアの地に降り立つ一同の中でジェイドが何故ここに来たのかと孔明に問い、返ってきた理由に噛み締めるように声を守らす。まだ孔明が全部理由を話していないこともあるために。
「ただ最も重要な狙いが何かと言えば、このケセドニアの代表であるアスター氏と会談することにあります」
「・・・何故そのようなことを?」
しかし本題が何かと聞いてジェイドは眉を寄せながら、何故と問う。そんなことをアスター相手に一々する理由があるのかと。
「理由としてはこれからもお付き合いさせていただきたいと考えているからですよ・・・これまでは端的に言わせていただくならダアトの庇護下で様々な活動をケセドニアの方々は行ってきましたが、預言の通りにしないという流れにしていくのは貴方もお分かりのはずです」
「確かに分かりますが・・・その付き合いをしたいが為だけに、今までの事をこれから話すと言うのですか?」
「えぇ。それと先に言わせていただきますが、この事は我々ダアトだけではなくキムラスカにマルクトにも少なからず関わってきますよ」
「何・・・キムラスカもだと・・・?」
その答えを付き合いをしたいと言いつつ話を進める孔明だが、その中で出てきたキムラスカの単語にアッシュがどういうことかと入ってくる。何故キムラスカまでもがそうなるのかというように。









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