軍師、移動する
「と言ってもそのように危惧をするのは我々だけではなく、キムラスカのインゴベルト陛下達もそうでしょう。陛下達も今のアッシュのままでいいなどとは思われないでしょうし、ましてやキムラスカを窮地に追いやるような事など望む筈がありません」
「確かにそうでしょうが・・・丞相は何かインゴベルト陛下に助言出来るような何かいい案はお考えではないのですか?」
「あることはありますが・・・あまり私がインゴベルト陛下にどうこう言うのは、内政干渉になります。大詠師による前例もありますので、私からこうされるべきですと進んで申し上げるのもあまりよろしくないことだと思っています」
「つまり、丞相から進んでは助言されるおつもりはないということですか・・・」
「はい。陛下に公爵から意見を求められるようでしたら別ですが、私からは申し上げるつもりはありません」
「そうですか・・・」
ただとキムラスカ側も安穏とはしないと言う孔明に具体策の提示はしないのかとフリングスは聞くのだが、過干渉はしたくないとキッパリ言い切るその姿に何とも言いがたそうな声を漏らす。出来るなら孔明がそうした方がいいのではないか、そういった気持ちを滲ませるように。
・・・そこから会話は特に目立ったものは無くなり、ジェイドとフリングスの二人も孔明達に休息するように言われて部屋を後にして別の部屋に入るのだが・・・
「・・・少将は丞相の肩を持たれているのですか?」
「そう言うわけではありません。今の流れから責任者は誰なのかという観点から見てもですが、導師が全面的に信頼を寄せておられるのは丞相です。そんな存在である丞相と友好的な関係を結ばなければならないと考えるのは当然でしょう・・・むしろ今問題なのは貴方の方です、大佐・・・丞相があのような方だから問題になりませんでしたが、丞相が考えを翻すような事を決断されたら全てが台無しになるかもしれないのですよ・・・!」
「・・・その点に関しては申し訳ありませんでした。ただ言い訳をさせていただくなら、あの方の底を知りたいからこそあえてあのように言わせていただいたんです」
「底、ですか・・・?」
・・・部屋に入るなり険悪とまでは行かずとも緊迫した空気で先のジェイドの行動について会話が紡がれていくのだが、その中で謝罪しつつジェイドが口にした底という言葉にフリングスは眉を寄せる。
「・・・確かにあの方と今敵対するようなことは避けた方がいいということは私も理解してはいますし、これからも友好的な関係を築けるなら築いておいた方がいいとは思ってはいます。ですが今まであの方が大詠師の配下として潜り込んでその影で今まで何をしてきたのか・・・その手練手管についてもそうですが、先を見据えるその目が何を捉えているのか・・・正直な所、私に同じような事をやれと言われても出来ないという自信の方があります」
「貴方がそう自分で断言するのですか・・・?」
「私が出来ることとそうでないことを考えてのことです。少なくとも私には丞相のように自らがどのようにこれからのダアトの方針を定めてどうするべきかなどといった国の行く末を左右する舵取りまでは出来ませんし、このような言い方はよろしくないと知ってて言いますがそもそもしたくもありません。ですが丞相は我々のように兵をまとめて戦が出来る様子が伺えるばかりか、そのようにまで動けて結果はこの上無いとも言えるような形で出している・・・その点ではあの方は紛れもない天才です。私など及びもつかないようなね」
「・・・っ!」
自身の能力についてを言葉面だけは謙虚にしつつも、疑いはしていないジェイドがハッキリと孔明を自分以上の天才だと言ったことにフリングスは驚愕した。まさかの言葉を聞いてしまったことに。
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「確かにそうでしょうが・・・丞相は何かインゴベルト陛下に助言出来るような何かいい案はお考えではないのですか?」
「あることはありますが・・・あまり私がインゴベルト陛下にどうこう言うのは、内政干渉になります。大詠師による前例もありますので、私からこうされるべきですと進んで申し上げるのもあまりよろしくないことだと思っています」
「つまり、丞相から進んでは助言されるおつもりはないということですか・・・」
「はい。陛下に公爵から意見を求められるようでしたら別ですが、私からは申し上げるつもりはありません」
「そうですか・・・」
ただとキムラスカ側も安穏とはしないと言う孔明に具体策の提示はしないのかとフリングスは聞くのだが、過干渉はしたくないとキッパリ言い切るその姿に何とも言いがたそうな声を漏らす。出来るなら孔明がそうした方がいいのではないか、そういった気持ちを滲ませるように。
・・・そこから会話は特に目立ったものは無くなり、ジェイドとフリングスの二人も孔明達に休息するように言われて部屋を後にして別の部屋に入るのだが・・・
「・・・少将は丞相の肩を持たれているのですか?」
「そう言うわけではありません。今の流れから責任者は誰なのかという観点から見てもですが、導師が全面的に信頼を寄せておられるのは丞相です。そんな存在である丞相と友好的な関係を結ばなければならないと考えるのは当然でしょう・・・むしろ今問題なのは貴方の方です、大佐・・・丞相があのような方だから問題になりませんでしたが、丞相が考えを翻すような事を決断されたら全てが台無しになるかもしれないのですよ・・・!」
「・・・その点に関しては申し訳ありませんでした。ただ言い訳をさせていただくなら、あの方の底を知りたいからこそあえてあのように言わせていただいたんです」
「底、ですか・・・?」
・・・部屋に入るなり険悪とまでは行かずとも緊迫した空気で先のジェイドの行動について会話が紡がれていくのだが、その中で謝罪しつつジェイドが口にした底という言葉にフリングスは眉を寄せる。
「・・・確かにあの方と今敵対するようなことは避けた方がいいということは私も理解してはいますし、これからも友好的な関係を築けるなら築いておいた方がいいとは思ってはいます。ですが今まであの方が大詠師の配下として潜り込んでその影で今まで何をしてきたのか・・・その手練手管についてもそうですが、先を見据えるその目が何を捉えているのか・・・正直な所、私に同じような事をやれと言われても出来ないという自信の方があります」
「貴方がそう自分で断言するのですか・・・?」
「私が出来ることとそうでないことを考えてのことです。少なくとも私には丞相のように自らがどのようにこれからのダアトの方針を定めてどうするべきかなどといった国の行く末を左右する舵取りまでは出来ませんし、このような言い方はよろしくないと知ってて言いますがそもそもしたくもありません。ですが丞相は我々のように兵をまとめて戦が出来る様子が伺えるばかりか、そのようにまで動けて結果はこの上無いとも言えるような形で出している・・・その点ではあの方は紛れもない天才です。私など及びもつかないようなね」
「・・・っ!」
自身の能力についてを言葉面だけは謙虚にしつつも、疑いはしていないジェイドがハッキリと孔明を自分以上の天才だと言ったことにフリングスは驚愕した。まさかの言葉を聞いてしまったことに。
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