軍師、移動する
・・・くのいち達がパッセージリング周りに奔走するその一方、孔明達はタルタロスにて海上を移動していた。
「・・・しかし、このタルタロスの扱いにも慣れた物ですね。一応は最低でも四人はいれば動かすくらいは出来はしますが、それでも私の部隊と比べても遜色ない程にキビキビ動けているように見えます」
「私が直に指揮を取っていられる時間はそうはありませんでしたが、彼らは彼らなりに訓練をしてきましたからね。その結果が今ここに現れていると言うわけです」
「それも貴方の徳、と言うわけですか・・・」
「私は自分の徳が高いなどと思ったことはないですけれどね」
・・・タルタロスのブリッジの中、キビキビと動く神託の盾の姿を見ながらジェイドは孔明と会話を交わすのだがどこか探るような言葉を向けるのに、孔明は一切気にした様子もなく平然と返す。
「・・・丞相、一先ずは我々だけでタルタロスを動かしますので部屋で休まれてください。私がここに残ります」
「えぇ、分かりました。大佐に少将も一先ずは大丈夫だと納得されたようですので、場所を移しませんか?」
「私は構いませんが、少将は?」
「私もそれで構いません」
「では向かいましょうか」
そんな場にリグレットが休憩するようにと勧めてきた事に孔明は頷いた後に二人に問い掛け、共に了承したことにリグレットを残して一同は場を後にしていく。
・・・それで孔明達は空いた部屋へと移る。
「・・・何故彼女は一人だけ残る事を選んだのでしょうか?」
「ブリッジには彼女の弟がいて指揮をしていますからね。他にも兵士はいますが、姉と弟が久しぶりにゆっくりと顔を合わせる機会は今までそうありませんでしたから、これくらいは構わないでしょう」
「・・・確か、前に話に出ていましたね・・・預言により死が詠まれていた人達がいて、それを丞相達が助けたとか・・・」
「えぇ。そしてその為に一時はダアトに謡将を憎んでいた彼女ですが、謡将の目的を知って彼女は行動を共にすると決め、その彼女に弟・・・マルセルが生きていると明かし、彼女にこちらについてもらったのです」
「そうだったのですか・・・」
そこでフリングスがリグレットの行動の理由についての疑問の声を漏らすと、孔明は大体の経緯を説明して納得してもらう。
「それなら一つ疑問なのですが、貴方は何故リグレットが謡将の元に行ったと確定してからそのようなことをしたのですか?」
「大佐、それは・・・」
「おっしゃりたいことは分かりますよ。リグレットを味方に引き込むために敢えて彼女が謡将に取り込まれるまで放っておいたのではと思われているのでしょう。ですが彼女の事を知ったのはマルセルからの訴えからなんですよ」
「リグレットの弟から、ですか?」
ただ次にジェイドがリグレットをヴァンの元に食い込ませてから引き入れる陰謀ではなかったのかとわざとらしく聞いてきた為、フリングスが非難めいた声をかけようとしたが偶然マルセルから知ったとの答えが返ってきた事にジェイドと共に意外そうに目を瞬かせる。
「預言により死にそうになっていた兵士達を助けていったのは確かで顔や名前も基本的に覚えるようにはしていましたが、ならとその家族についても調べて覚えるのはあまり効率的ではありませんし意味もそうありません。ですのでリグレットについては最初は新しく謡将が腕利きの将を得たのだといった認識でいましたが、内密にダアトで活動していたマルセルがリグレットの姿を見た後にあれは姉だと私に報告したことから彼女の事を調べ、彼女にこちらに着いていただくように動いたのです。そうでなければラルゴ同様に一本気な性格である彼女をこちらに引き込むなど、容易ではないどころか下手をすれば考えてもいなかったでしょうね」
「成程、そういうことだったのですか」
それでその時の心理に経緯を話す孔明に、ジェイドも理解を示す。最初からリグレットを是が非でも引き込む為に動いていたのではないと言うことに。
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「・・・しかし、このタルタロスの扱いにも慣れた物ですね。一応は最低でも四人はいれば動かすくらいは出来はしますが、それでも私の部隊と比べても遜色ない程にキビキビ動けているように見えます」
「私が直に指揮を取っていられる時間はそうはありませんでしたが、彼らは彼らなりに訓練をしてきましたからね。その結果が今ここに現れていると言うわけです」
「それも貴方の徳、と言うわけですか・・・」
「私は自分の徳が高いなどと思ったことはないですけれどね」
・・・タルタロスのブリッジの中、キビキビと動く神託の盾の姿を見ながらジェイドは孔明と会話を交わすのだがどこか探るような言葉を向けるのに、孔明は一切気にした様子もなく平然と返す。
「・・・丞相、一先ずは我々だけでタルタロスを動かしますので部屋で休まれてください。私がここに残ります」
「えぇ、分かりました。大佐に少将も一先ずは大丈夫だと納得されたようですので、場所を移しませんか?」
「私は構いませんが、少将は?」
「私もそれで構いません」
「では向かいましょうか」
そんな場にリグレットが休憩するようにと勧めてきた事に孔明は頷いた後に二人に問い掛け、共に了承したことにリグレットを残して一同は場を後にしていく。
・・・それで孔明達は空いた部屋へと移る。
「・・・何故彼女は一人だけ残る事を選んだのでしょうか?」
「ブリッジには彼女の弟がいて指揮をしていますからね。他にも兵士はいますが、姉と弟が久しぶりにゆっくりと顔を合わせる機会は今までそうありませんでしたから、これくらいは構わないでしょう」
「・・・確か、前に話に出ていましたね・・・預言により死が詠まれていた人達がいて、それを丞相達が助けたとか・・・」
「えぇ。そしてその為に一時はダアトに謡将を憎んでいた彼女ですが、謡将の目的を知って彼女は行動を共にすると決め、その彼女に弟・・・マルセルが生きていると明かし、彼女にこちらについてもらったのです」
「そうだったのですか・・・」
そこでフリングスがリグレットの行動の理由についての疑問の声を漏らすと、孔明は大体の経緯を説明して納得してもらう。
「それなら一つ疑問なのですが、貴方は何故リグレットが謡将の元に行ったと確定してからそのようなことをしたのですか?」
「大佐、それは・・・」
「おっしゃりたいことは分かりますよ。リグレットを味方に引き込むために敢えて彼女が謡将に取り込まれるまで放っておいたのではと思われているのでしょう。ですが彼女の事を知ったのはマルセルからの訴えからなんですよ」
「リグレットの弟から、ですか?」
ただ次にジェイドがリグレットをヴァンの元に食い込ませてから引き入れる陰謀ではなかったのかとわざとらしく聞いてきた為、フリングスが非難めいた声をかけようとしたが偶然マルセルから知ったとの答えが返ってきた事にジェイドと共に意外そうに目を瞬かせる。
「預言により死にそうになっていた兵士達を助けていったのは確かで顔や名前も基本的に覚えるようにはしていましたが、ならとその家族についても調べて覚えるのはあまり効率的ではありませんし意味もそうありません。ですのでリグレットについては最初は新しく謡将が腕利きの将を得たのだといった認識でいましたが、内密にダアトで活動していたマルセルがリグレットの姿を見た後にあれは姉だと私に報告したことから彼女の事を調べ、彼女にこちらに着いていただくように動いたのです。そうでなければラルゴ同様に一本気な性格である彼女をこちらに引き込むなど、容易ではないどころか下手をすれば考えてもいなかったでしょうね」
「成程、そういうことだったのですか」
それでその時の心理に経緯を話す孔明に、ジェイドも理解を示す。最初からリグレットを是が非でも引き込む為に動いていたのではないと言うことに。
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