女忍、深めて広める

「・・・方法は確かに無いわけではありません。ですがその方法は実用的ではない以上に、人道的に見てもよろしいと言えるような物ではありません」
「そ、そんな危険っつーかヤバい事なのか・・・?」
「えぇ・・・そしてそれが何なのかと言えば、レプリカに障気を引き取ってもらうことです」
「なっ・・・それはどういうことだよ!?」
ディストは重くいかにそれがまずいことなのかを前置きをした上でその手段についてを述べると、ルークは驚愕に表情を歪めた。何故レプリカがそうしないといけないのかと。
「簡単に言うなら障気は第七音素に結び付きやすいという特徴があります。それが純粋な第七音素であればあるほどに効果は高いのですが、ただ何の意志もこもっていない第七音素の物質のレプリカを作ってそれに接した所で障気は抜き取ることは出来ません。ただ意志のあるレプリカなら対象者に触れて感覚さえ掴むことが出来たなら、その障気を自身の体に引き受ける形で受け止めることが出来るんですよ」
「第七音素で出来た体だから、か・・・」
「えぇ。ですがそのレプリカが第七音素を操れるだけの素養があるかもそうですが、何よりその命が危ぶまれる事が先程言った実用的に人道的といった問題に繋がるのです・・・昔の私ならメリットがあるならティアを助ける為だけのレプリカを造り出して治療にあてるなりしていたかもしれませんが、今の私は今生きている者を救うためだからとレプリカなら死んでも構わないと言って新たなレプリカを造るつもりはありませんしね」
「そういうことか・・・」
そこからどうしてかを説明すると共に自身にある良心についても語るディストのその様子に、ルークも納得の様相を浮かべる。
「ただ、この事に関しては絶対に彼女に知られてはいけませんよ。特に貴方のこれからの事を考えれば、自分がその罪を背負うからなどといった風に自分に酔ったように言い訳をするなどして、自分の身の為に貴方に障気を無理矢理にでも引き取らせようとする可能性もあると思われます」
「なっ・・・!?」
「有り得ないと思いたいかもしれませんが、彼女が現在この人物がレプリカだと知っているのは貴方くらいです。導師にシンクについては念の為と言うことから話してはいませんし、彼女の考え方からするに事実を知ったとしても導師にどうにかしてもらってという考え方は無いでしょう。となれば残っていて優先されるのは神託の盾の六神将としての地位を確立しているシンクではなく、丞相の元で地位を確立しきれていない貴方になるでしょう。彼女からすれば貴方は心情的に見て同情的になれない上に関係の薄い人物だという風に考えているのは今までの旅で感じましたからね」
「・・・だからもしそれが知られたなら、俺が危険になる可能性が出てくるってのか・・・」
「えぇ。ですので是非ともこの話については内密に願います。それに可能性が低いとはいえ、導師にシンクの危険にも繋がってきますからね」
「分かってるよ!流石にそんなことになるかもしれねぇって聞いて言うつもりなんてねぇ!」
だがその事を知られる危険性がいかなものか・・・その可能性についてをディストがとうとうと語った上で黙っておくようにと願うと、ルークは慌てて何度も首を縦に振った。ティアのそんな行動の為に命を失いたくないし、失わせたくないという気持ちのままに。









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