女忍、深めて広める

「では私に付いてきて。医療所まで案内するわ」
「分かりました」
それでネフリーが案内といったことにディストが頷き、一同はその後を付いていく。



・・・ネフリーに付いていく形でケテルブルクの街中にある建物の一つに入っていったくのいち達。診療所の待ち合いのスペースらしい場所に集まる。
「それで、誰から診てもらう?」
「まずは導師からでお願いするけど、次はディスト行きなよ」
「私がですか?」
「こういうのって歳を取った人からなりやすいって言うじゃん。だからまずは導師に行ってもらって、その次は順々に年長者からってことでね」
「そういうことならそれで構いませんよ」
それで早速と誰から行くと奥の扉を見ながらネフリーが聞く様子に、くのいちが順序についてを口にしてディストもすぐに納得する。妥当と言えば妥当な反応に。









・・・それでイオンにディストにくのいちと建物の奥の方に入る扉へ順々に入っていき、少ししてから戻ってきた。
「んじゃティア、次行ってきなよ」
「あ、はい・・・分かりました・・・」
それでくのいちが次にと言ったことにティアはすぐに頷き、奥の部屋の方へと入っていく。
「・・・後は検査結果待ちか」
「協力感謝しますよ、ネフリー」
「いえ、気にしないで。滅多にない貴方からの頼みだし、彼女が無理して倒れられても困るという文面があったからこうして協力したんですもの」
それで姿が見えなくなったのを確認してポツリと呟くルークの声から、奥に聞こえないようにと控え目な会話をディストとネフリーは交わす。



・・・そう、この今の状況はディストが仕組んだ物である。ネフリーに協力してもらい、ティアの体の様子を調べてもらうための手っ取り早い状況を作るためのだ。

なので勿論と言うべきなのだが流行り病など存在していないし、ましてやワクチンと言った物など存在しない。重要なのは容態を診るという名目でティアから血を取ることだ。それが出来てしまえば後は・・・









「・・・すみません、皆様・・・」
「どうしたんですか、先生?」
・・・そこからボソボソと会話をしつつ奥の扉に注目していた一同だが、その扉が開いて白衣を着た医者の中男性が姿を現し声をかけてきたこととネフリーの問い掛けに揃ったようにコクりと首を縦に振る。
「彼女について検査をしていたら普通では有り得ない異常を発見致しました。つきましては彼女をこちらにお呼びしますので、一緒に話を聞いてはいただけないでしょうか?」
「・・・私は構いませんが、奥方はどうですか?」
「それでいいので、連れてきてもらっていいですか?」
「はい、分かりました」
そのままティアの容態についての報告と連れてくるのはいいかと言い出す医者にネフリーもくのいちも了承し、医者はまた扉の奥に消えていく。



・・・こうして、否が応でもティアの体の状態についてをぶちまける状況の完成と言うわけだ。勿論ティアの容態を診る役割の医者もネフリー同様、くのいち達の協力者である。

と言っても医者は医者としてティアの容態についてをちゃんと調べている。もし痩せ我慢などではなく本当に何も体に異変が起きていないという場合も考えられるし、ディストにそのデータを渡すという役目も兼ねてだ。

そしてそこまでお膳立てした結果がやはりというべきか、今までのティアのあの姿は痩せ我慢だという結果の露見である・・・









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