軍師、頭を抱える

・・・孔明とくのいちは表向きはいちゃつく感じで少し場を離れていた二人は話を済ませてルーク達と合流した。そしてそのままカイツールの港へと共に向かう・・・









「・・・これは・・・」
・・・そんな風にして一同は港に辿り着いたのだが、そこにあった光景に孔明は真剣な眼差しを浮かべながら羽扇で口元を隠す。何故ならそこにあった光景はほんの数日前に来たような平和で何事もない港などではなく、そこにあった施設は壊され警備していた兵士達は地に伏せ死んでいるという・・・明らかに何者かの襲撃を受けているという光景なのだから。
「・・・旦那様!奥に謡将が!」
「・・・何があったのかを彼に聞きに行きましょう。ここにいたのなら何か知っているでしょうからね」
その光景に周りも困惑する中でくのいちが指を指した先にヴァンが立っている光景を見て、孔明がそこに行くと言うと一同は走ってそこまで向かう。



「謡将!何があったのですか?」
「っ!?・・・丞相、何故ここにルーク達と共に・・・!?」
「説明は後です。一体この港で何があったのですか?」
「・・・アッシュがこの港を襲撃してきました」
「アッシュが・・・?」
それで後ろを向いていたヴァンに声をかけると孔明の姿とルーク達を見て心底から驚いたように漏らすが、辺りの惨状の説明を求めると苦み走った表情を浮かべアッシュが原因と言ったことに意外そうに眉を上げる。
「はい・・・フードを目深に被っていましたがアッシュは自分の名前を言い、そしてその声も間違いなくアッシュであることは間違いありませんでした」
「・・・何故アッシュがこの港を襲ったのか、その理由に心当たりもしくは何か言っていましたか?」
「・・・ここを去る前、船の整備が出来る整備士を連れていった上でアッシュはこう言い残して行きました。こいつを返してほしければ導師とルークを連れてコーラル城まで来い、と」
「っ・・・俺と、イオンに・・・!?」
「成程、二人を呼び寄せる為にこの港を襲撃したということですか。それも整備士まで誘拐して無視を出来ないようにと」
それでヴァンが間違いないと強調した上でその目的についてを述べ上げるとルークは驚愕に声と表情を揺らし、ジェイドは淡々と納得した様子で漏らす。
「・・・それにしても随分と乱暴な手段を取る物です。まさかここまでの被害を与える形で行動を起こすとは・・・」
「・・・私もそう思いますが、今はそこを問題にするべきではありません。整備士をどうにか連れ戻さねば船も修理出来ず、この場にずっと待機せねばなりません。どうにか整備士をアッシュの元より取り返さなければ・・・」
「アッシュより取り返す、ですか・・・貴方の言ったアッシュの条件では、ルーク殿と導師の身柄と引き換えにすると言っているように思うのですが」
「はっ!?し、師匠そんなことしませんよね!?」
「ヴァン、僕だけならいざ知らずルークまでもを巻き込もうと言うのですか・・・!?」
「いえ、導師。流石にそのようなことは致しません。そこは安心なされてください」
そこから孔明とヴァンの二人で会話をするのだがその中身にルークとイオンが強く反応をしたことに、ヴァンはすぐに首を横に振り否定を返す。
「ならばどうしようというのですか?」
「僭越ではありますが、私がアッシュの討伐に参りたいと思います」
「貴方が、ですか?」
「はい、こういう事態になったのは上司である私の責任でもありますし整備士の命もかかっています。ならばこそ私が・・・」
「それは許可を出すことは認められないと言わせていただきます」
「・・・何故ですか、丞相?」
それでもイオンは尚も疑り深く探るような声を向けてきた為ヴァンが自身で行くと言い出すが、孔明が制止をかけてきたことに静かに訳を問う。静かな声と裏腹に、強さがこもる声で。







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