女忍、深めて広める

「じゃあ今度は奥方殿に聞きたいんだけれど、私らに何を頼もうとしてたんだい?私らもやれることはやるつもりじゃいるけどさ」
「ん~、近い内にこのケセドニアに旦那様が来るだろうからちょいと伝言を頼みたいんだよね~。私達はこの後にここを出る予定でどうなるかはハッキリとはしてないけれど、今の状況を伝えて欲しいってね」
「それだけでいいのかい?」
「そっちにはイオンの兄弟達を面倒見てもらってるし、船も用意してもらうってことなんでこれ以上要求するのは野暮ってもんすよ」
「別にいいんだけどねぇ。子どもを守るのは大人の仕事っていうのもあるけど、あの子達はいい子達だから他の皆からも受け入れられてる。もっと手のかかる子達だったら私らも吹っ掛けようかどうしようかって考えてたんだけど・・・ま、早い話が絆されたんだろうねぇ」
「・・・何か色々ありすぎて頭がこんがらがってきた・・・」
それでノワールが要求はあるかとくのいちに聞くのだが、話の内容がだんだん変わるばかりか優しげな笑みを浮かべるその姿にルークが難解そうに表情を歪ませる。
「・・・ま、丞相に伝えるだけなら受け持つから私はそろそろ離れるよ。あまり話し込んでると謡将の妹がこっちに来かねないし、その坊やにも色々説明してやった方がいいだろうしさ。後はウルシー達に伝えてやりな」
「うん、その方が良さそうだね」
「じゃあね~、奥方殿」
ノワールはそんなルークの姿に苦笑気味に自分達がさっさと離れることを口にし、くのいちが了承すると連れの男達を残して場を後にして行く。
「・・・なぁ、どういうことなんだ?」
「んじゃ~、ちょいと説明しまさぁ。船の準備が出来る間の時間までにもちょうど良さそうだしね~」
ノワールが去った後にルークがたまらずどういうことかを問い、くのいちは説明すると笑顔で返す。









・・・それで時間を使い連れの男二人に今までの経緯について伝え終わり、二人が離れた後にくのいちはルークへの説明をした。



「・・・イオンと一緒に産まれた奴らが、あいつらの所にいるってのか・・・それであいつらに五人を託したってのか・・・」
「ダアトの中じゃどうやったってイオンと瓜二つの五人の姿は目立っちゃうし、かといってシンクみたいに仮面を被ってなんてのは謡将に見つかった場合がどう考えてもまずい結果になるとしか思えなかったからね~・・・だからイオンを産み出すってなった時にディストが確実に謡将が望むようなダアト式譜術を使える人物を一度で産み出せる保証が無いってことで、ノワールちん達には影で動いてもらったんだよね。もし一度で成功しなかったらその子達を受け入れてもらおうってね」
「そうなんか・・・でもそれを考えると、そいつらはあいつらの所から簡単に外に出ることって出来ねぇんだよな・・・」
「大丈夫ですよ、彼らなら」
「イオン・・・」
・・・それでくのいちからどういうことかの説明を聞き終わりルークがノワール達の元にいる被験者イオンのレプリカ達への同情めいた表情を浮かべるが、イオンが笑顔を浮かべ大丈夫というその様子に意外そうに目を瞬かせる。









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