女忍、深めて広める

・・・それで真っ先にティアが場を離れていく姿をくのいち達は見送り、一同は揃ってタメ息を吐いた。
「はぁ・・・やれやれ、私も少し外しますよ。ケテルブルクに手紙を出して用意を進めてもらうためにもね」
「あっ、お願いね~」
その中でディストがやることをやると切り出し、くのいちが送り出す言葉を向けると浮遊椅子でスゥーッと街の中の方に向かう。
「さってとっと・・・」
「久し振りだねぇ、奥方殿。ちょっと時間はいいかい?」
「あぁ、ノワールちん。ちょうど良かった、こっちも頼みたい事があったんだ~」
「相変わらずだねぇ、奥方殿・・・」
「えっと・・・バチカルでこいつらと会ったけど、知り合いだったか?」
全員で見送った所でくのいちが言葉と共に別の方に視線を向けると男二人を伴った艶やかな女が体をくねらせながら現れ、仲良く話し出した事にルークが首を傾げながらどういうことかと問う。
「ルークは聞いてたっけ?旦那様にダアト以外にも協力者がいるって言うの。簡単に言うと、ノワールちん達はそのダアト以外の協力者だよ」
「へぇ・・・って言う割には今までそんな姿を見てこなかったけど、いきなりどうしたんだ?」
「ダアトの方で動きがあったのを聞いてね・・・大詠師と謡将の一派を片付けたんなら言ってくれても良かったじゃないか、奥方殿」
「ごみんごみん。でも今の状況じゃあんまりマルクトに所属してる大佐達の事を考えると、あまり接触しない方が良かったんだよね~」
「接触しない方が良い?」
「漆黒の翼って聞いたことあるでしょ?それってこの三人の事なんだよ」
「はぁ?こいつらがぁ?暗闇の夢じゃねぇのかよ?」
くのいちがその女性達についてを話して当人達も交えて話す中で漆黒の翼と出てきた事に、ルークはどういうことかと疑問の声を向ける。前は暗闇の夢と聞いたのもあるが、漆黒の翼はタタル渓谷に初めて飛ばされてきた後に知ることになった義賊・・・つまりは犯罪者だと聞いていた為に。
「その辺りに関してはちょっと色々複雑だからね~。今は私達の協力者として邪魔はするような事はしないだろうから、その辺りは大目に見てくんない?ノワールちん達もそういった事をするためにこうして前に現れたんだろうし」
「・・・相変わらず丞相もそうだけど、奥方も察しがいいねぇ。ま、こんな風に姿を見せたんならそりゃそうも思うか」
「・・・じゃあ本当に俺らに協力するために?」
「協力と言っても大したことじゃないさ。これからの足に関してを手伝おうと思ってね」
「足?」
くのいちが大丈夫という言葉にルークも本当かという目を向けるが、足との言葉を口にするノワールにまた首を傾げる。
「船の事だよ。奥方殿達が丞相達と分かれて行動しているってのは知ってるし、タルタロスに関してを金を払ってでも譲り受ける流れにするっていうのは聞いていたからね・・・だから私らは奥方殿に協力して船を動かそうって決めたのさ。そろそろアブソーブにラジエイトのゲートに行く時も近いだろうって見てね」
「・・・そんな先まで見据えて先の事を話してたってのかよ・・・何度思ったかわかんねぇけど本当にすげぇな、コーメイ・・・」
「それは私らもよく理解してることだけど、どうする?船に乗るなら私らが乗ると謡将の妹がいるから色々面倒になるから乗らないけど、しばらくは船を貸すよ?」
「ん~、それはケテルブルクからで旦那様が用意していた船って体でお願いしていい?それこそ今ここで船が手に入ったってティアが変な風に怪しむ可能性もあるし」
「仕方無いねぇ・・・じゃあ船員にはさっさとケテルブルクに向かうようには言っておくよ。先に行ってもらった方が行き違いも到着遅れもないだろうからね」
「そうしてくれるとありがたいっす」
ノワールは船と言いつつ孔明から話された事についてを説明してルークが感服の声を上げ、その反応に応えつつどうするかとくのいちに問うとケテルブルクでお願いとの返しに了承をして笑顔で頭を下げられる。面倒をかけると。









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