女忍、深めて広める

「ん~・・・まだ大丈夫にしても次で倒れられたら話にならないしな~・・・ねぇ、ディスト。今のティアの状態をどうにかすることって医療的な視点から見て難しいんだよね?」
「障気をどうにか体内から取り出すのは無理ですが、障気による痛みを和らげる薬を作れないことはありません。ですがそうするにしてもどこか医療施設の整った場所でその為の薬を作る時間が必要になりますが・・・それを彼女に飲ませるための大義名分が必要かと思われます。現状でただ薬を手渡した所で自分の事について知っていたのかと抗議を受けることになりかねませんが、それを誤魔化せたとしてもどうやって彼女の状態についてを打ち明ける状況にさせるかが重要です」
「う~ん、やっぱりそこをどうにかする必要があるか~・・・」
くのいちは状況の打破についてディストにどうかと聞くと、出来ないことはないという答えとともに問題点についても返ってきた為にやはりという風に脱力気味に表情を崩す。
「・・・ちなみに次の目的地ってどこなんだ?」
「ん~、ケセドニアに行ってからケテルブルクに行ってロニール雪山のパッセージリングの操作をして、アブソーブとラジエイトの二つのゲートの操作をして、最後に旦那様との合流地点でもあるシェリダンって流れにする予定だけど・・・この流れだとケセドニアかケテルブルクになるかな~。次のパッセージリングの事を考えると行けるところは」
「それならケテルブルクでお願いします。あそこは私の出身ですし、お任せしていただければ彼女の体の状況を明かすための手順を整えますよ」
「あっそう?ならディストにお任せするよ、自信ありそうだしね~」
ルークがその様子に次の目的地を聞いていいものかといったようになりながら聞くとくのいちは候補について悩ましげだったが、ディストが自信を持った様子で自分に任せるようにと言い出した事に一転して明るく一任すると許可を出す。
「随分あっさり決めたけど、どうするかってやり方聞かなくていいのか?」
「まぁそれは追々って事でいいかなって。それにディストなら大丈夫って信じてますし」
「そうなのか・・・まぁそれなら任せるけど、あんなに俺らに悟らせないようにしてまで頑張る意味って何なのかって思っちまうよな・・・あの姿が痩せ我慢だって事実を知ってるからってのがあるから言えるんだけどよ」
「その意味に関してはケテルブルクで直接本人に聞くことにはするけれど、今までのティアの様子から私達が納得出来る独り善がりとは感じないような答えが返ってくると思う?」
「・・・いや、全く想像がつかねぇ。むしろ独り善がり以外の何物でもねぇだろ、今までのあいつの様子を見てたらよ」
そんなあっさり決めた様子についてからティアの我慢に関しての話題に移るルークだが、くのいちの返答に呆れを盛大に浮かべティアの向かった方向に視線を向ける。
「師匠の事もそうだけど、自分一人で全部抱えてそれを自分の力で解決なんてしようとするからあんな風に勝手になっちまう・・・それで迷惑をかけたからごめんなさいで終われるような単純なもんじゃねぇって、師匠の事から少しでもそういった風に考えられなかったもんか・・・」
「あ~・・・元々ルークはティアに巻き込まれてこういうことになったしね~。多分今その事をティアに言っても怪我の功名じゃないにしてもこうなって結果的に良かったって言いそうだし・・・」
そのまま黄昏ていきそうな雰囲気を滲ませつつ声を漏らしていくルークの様子に、アニスも経緯が経緯というのもあるがティアの性格があるために何とも言いがたそうに同調する。









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