軍師、狭める

「さて・・・一先ずそちらがこのグランコクマに来た目的については無事に達成された事だろうが、こちらからも聞きたいことがある」
「何でしょうか?」
「正確には丞相にではなく・・・アッシュ、お前にだ」
「・・・何?」
それでピオニーが次に聞きたいことと切り出し孔明が先を促すが、そこでアッシュが対象と視線を向けながら言うと当人は怪訝そうな表情を浮かべる。
「一応この話に関しては知る者を減らすためにここの兵を外に出してあるから腹を割って話して欲しいのだが・・・アッシュ、お前はキムラスカに戻るかどうかにルークとの事をどう考えている?」
「っ、何故いきなりそんなことを聞きやがる・・・?」
ピオニーは周りを見渡しながら兵がいないことを示しつつどうするかについてを聞くのだが、アッシュは何故いきなりと困惑気味に訳についてを問う。
「ジェイド達からの報告の手紙で、キムラスカでどのような会話がされていたか・・・大まかにではあるが、把握はしている。そして今の状況から別に動いている奥方達と合流した後、そう長い時間が経たん内にお前達二人についての決断の時が近い・・・俺はそう見ている」
「っ!だったら何だってんだ!てめぇらマルクトに俺とあの屑がどうなろうが関係ねぇだろうが!」
「関係無い・・・本当にそう思われているのですか?」
「んだと・・・!」
そこからピオニーが決断の時が近いことについてを口にするとすぐさまアッシュは怒鳴り散らすが、ジェイドからの静かな問い掛けに今にも飛びかからんばかりに目をぎらつかせる。
「貴方は理解していないのですか?丞相達もそうですが、我々もまた貴方とルークの事実を知っている・・・それは即ちマルクトもその事実を知っているのだと言うことであり、貴殿方の決断でどちらとどのようにキムラスカと交流するかを決めなければならないのかと言うことを」
「っ・・・だ、だったら何だってんだ・・・」
「貴方の選択がどうなるのかがこれからの鍵になると見ているから、陛下は貴方の決断についてをお聞きしたのです。もし貴方単独か二人でとなれば次期キムラスカ王は二人での場合でも順当に考えれば貴方となり、王位を継いだならマルクトとの交流を貴方が主導して行うことになるのですが、それを否定するというならルークがマルクトとの国交も含めてキムラスカの政治を主導することになるのですよ」
「!?」
そこから話の流れをマルクトも事実を知っていることからキムラスカに帰還することへの拒否をした場合の事をジェイドが淡々と口にすると、途端に勢いを失ったアッシュが絶句したように目を見開いた。そんな可能性考えてなかったとばかりに。
「無論、こちらとしてはどちらがどうなるにせよ交流をするという考えは持ってはいる。こうして丞相達のおかげで戦争も無事に回避出来たこともあるが、ならそれでいつまた戦争になってもおかしくないような冷えた関係性に戻るのは詠まれていた預言の事を考えるとあまり良くないだろうからな」
「・・・だから、俺の考えがどうなのか知りたいと言うわけか・・・今後の関係性を作るためにも、どっちがキムラスカに戻るかを知る形で・・・」
「そういうことになるが、今現在お前の気持ちはどういったように傾いている?まだ決断の時には時間があるからハッキリとは結論が出ていないのはいいとしても、どうしたいかくらいは考えてはいるだろう」
「っ・・・」
そんな驚きに畳み掛けるように話を進めていくピオニーがどう考えているかを改めて問うと、アッシュは先程と違い苦み走ったように表情を歪める。ルークが国を主導する流れについてを聞いたこともある上で、ここで絶対に本心を話さなければならない流れだと感じたことにより。









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