軍師、狭める
「・・・しかし実際に会ってみて思ったが、奥方の言われていた通りに優秀な人物のようだな」
「お誉めいただきありがとうございます」
「これなら明日改めて会う時も大丈夫だという確信は持てた。取りあえずは今日はここまでにしておいて俺にジェイド達は退出しよう。何か不自由があれば近くの者に言ってくれていい」
「お気遣いありがとうございます」
「いや、構わん。じゃあ行くぞジェイド、アスラン」
「「はっ」」
それで話は終わりと軽く話をした後に二人に命令を下し、共にピオニーは部屋を後にしていく。
「・・・行きましたね」
「丞相・・・率直にお聞きしますが、実際に会われてどういう印象をピオニー陛下に抱かれましたか?」
「そうですね・・・平時は些事にはおおらかで親しみやすいお方で、緊急時にはその甘さを押さえる事が出来る。今見ただけですが、賢帝と呼ぶに相応しい方ではあると見ています」
「ではある、とは・・・他に何かあるのですか?」
それで部屋からいなくなったことをシンクがそっと口にした後にリグレットがピオニーの印象について問うと、誉めているだけではないニュアンスの言葉を口にする孔明に疑問の口を挟む。
「簡単な事です。あの方の魅力はそこにこそあって人望も付いてくるのだと思いますが、皇帝としては気安すぎると言わざるを得ない面が強いのです」
「気安すぎる、ですか・・・確かにそういった部分は私も感じました。インゴベルト陛下にモースに謡将といった面々と比べれば、明らかに気さくな方だと・・・」
「えぇ。それが悪いとは言いませんし巻き返しで取り返せるだけの能力はあるとお見受けしますが、その気安さがあの大佐の奔放さを生んだと見ています。能力があるならと思ったからと言うのもあるでしょうが、自分の幼馴染みであるという贔屓目がある形でです」
「確かに・・・あの大佐の態度はキムラスカにダアトでなら問題だとは言えるでしょう。表向きはいかにも懇切丁寧な言い回しで話を進めていますが、ピオニー陛下相手にもあれに近いとなれば君臣のケジメをつけていないというように見られてもなんら不思議ではないかと・・・」
「えぇ。全く人の目のない場面であるか、血の繋がった肉親かそれに近しい関係であると周りも認識しているのであればまだいいでしょうが、左官の地位の大佐を昔の立場から必要以上に目をかけて特別扱いすることは他の方々の事を考えれば望ましい事とはとても言えません。そもそもを言えば名が売れているとは言え大佐を和平の使者という役割に命じたこと自体、良くないことと言えます」
「成程・・・その辺りがピオニー陛下の気安さ、ですか・・・地位や立場などを二の次にしているといった所が・・・」
そこからピオニーがいかに皇帝という立場にあるのに気安い部分が大きくあるのかを語る孔明に、リグレットも納得する。ピオニーのその立場を気にしない豪放さとも取れるが、気安いと言った方がいいその在り方に。
「ですがその気安さがあるからこそこうして我々の言葉に耳を傾け、協力していただいています。それにあの方の才覚自体は人の上に立つ者としては決して悪くないどころか、むしろ得難い物であると言えます。ここは下手に陛下に何か進言などすることなく、この関係で済ませましょう。わざわざ今の関係を壊すような事をする理由はありませんし、この旅が終わればマルクトとの距離も離れるでしょうからね」
「そうですね、そうしましょう」
ただその事をわざわざ指摘することはないと理由をつけて述べる孔明にシンク共々リグレットは頷いた。別にこれからもずっとマルクトと後生関わるわけではないために。
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「お誉めいただきありがとうございます」
「これなら明日改めて会う時も大丈夫だという確信は持てた。取りあえずは今日はここまでにしておいて俺にジェイド達は退出しよう。何か不自由があれば近くの者に言ってくれていい」
「お気遣いありがとうございます」
「いや、構わん。じゃあ行くぞジェイド、アスラン」
「「はっ」」
それで話は終わりと軽く話をした後に二人に命令を下し、共にピオニーは部屋を後にしていく。
「・・・行きましたね」
「丞相・・・率直にお聞きしますが、実際に会われてどういう印象をピオニー陛下に抱かれましたか?」
「そうですね・・・平時は些事にはおおらかで親しみやすいお方で、緊急時にはその甘さを押さえる事が出来る。今見ただけですが、賢帝と呼ぶに相応しい方ではあると見ています」
「ではある、とは・・・他に何かあるのですか?」
それで部屋からいなくなったことをシンクがそっと口にした後にリグレットがピオニーの印象について問うと、誉めているだけではないニュアンスの言葉を口にする孔明に疑問の口を挟む。
「簡単な事です。あの方の魅力はそこにこそあって人望も付いてくるのだと思いますが、皇帝としては気安すぎると言わざるを得ない面が強いのです」
「気安すぎる、ですか・・・確かにそういった部分は私も感じました。インゴベルト陛下にモースに謡将といった面々と比べれば、明らかに気さくな方だと・・・」
「えぇ。それが悪いとは言いませんし巻き返しで取り返せるだけの能力はあるとお見受けしますが、その気安さがあの大佐の奔放さを生んだと見ています。能力があるならと思ったからと言うのもあるでしょうが、自分の幼馴染みであるという贔屓目がある形でです」
「確かに・・・あの大佐の態度はキムラスカにダアトでなら問題だとは言えるでしょう。表向きはいかにも懇切丁寧な言い回しで話を進めていますが、ピオニー陛下相手にもあれに近いとなれば君臣のケジメをつけていないというように見られてもなんら不思議ではないかと・・・」
「えぇ。全く人の目のない場面であるか、血の繋がった肉親かそれに近しい関係であると周りも認識しているのであればまだいいでしょうが、左官の地位の大佐を昔の立場から必要以上に目をかけて特別扱いすることは他の方々の事を考えれば望ましい事とはとても言えません。そもそもを言えば名が売れているとは言え大佐を和平の使者という役割に命じたこと自体、良くないことと言えます」
「成程・・・その辺りがピオニー陛下の気安さ、ですか・・・地位や立場などを二の次にしているといった所が・・・」
そこからピオニーがいかに皇帝という立場にあるのに気安い部分が大きくあるのかを語る孔明に、リグレットも納得する。ピオニーのその立場を気にしない豪放さとも取れるが、気安いと言った方がいいその在り方に。
「ですがその気安さがあるからこそこうして我々の言葉に耳を傾け、協力していただいています。それにあの方の才覚自体は人の上に立つ者としては決して悪くないどころか、むしろ得難い物であると言えます。ここは下手に陛下に何か進言などすることなく、この関係で済ませましょう。わざわざ今の関係を壊すような事をする理由はありませんし、この旅が終わればマルクトとの距離も離れるでしょうからね」
「そうですね、そうしましょう」
ただその事をわざわざ指摘することはないと理由をつけて述べる孔明にシンク共々リグレットは頷いた。別にこれからもずっとマルクトと後生関わるわけではないために。
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