軍師、狭める

・・・フリングスとジェイドの二人が宮殿の中に入っていったのを見届けた後に待機する孔明達だったが、そこで何らかの会話が行われる事はなかった。アッシュに対してシンクやリグレットが時折視線を向けたりしたが、全く視線を合わせないようにしていた為に何も起こらない形でだ。



「・・・お待たせしました、皆さん」
「いえ・・・これから謁見の間に向かい、ピオニー陛下と会うのですか?」
「すみませんが、今日は陛下に予定が詰まっているとのことで・・・部屋を用意するので今日はゆっくり休まれるようにとの事です。明日には時間を作るからと・・・」
「それは仕方ありませんね・・・では部屋を用意されるとの事ですので、今日はゆっくりと休むことにしましょう」
「チッ・・・」
・・・そんな空気の中でフリングスが一人で戻ってきて今日は休むようにと言うように言われたと言うと、孔明はすぐに了承するがアッシュは隠す様子もなく舌打ちをする。余計な時間だとばかりに。









・・・それで部屋に案内される孔明達であったが、真っ先に一人用の部屋にアッシュが案内された後に孔明達はフリングスに連れられて大人数用の部屋へと案内された。



「・・・よく来られたな。そちらが丞相か」
「と言うことは、貴方がピオニー陛下ですか・・・確かに私が孔明になりますが、何故このような形でお待ちになられていたのでしょうか?」
するとその部屋の中にいたのはピオニーで確認の声を向けてきた事に孔明は頷いた後に、何故このような形を取ったのかを問う。
「その理由はこの手紙にあるが、これは丞相の奥方から送られてきたものだ。中身については信頼出来る者になら検閲してもらっても構わんと俺宛の手紙の方に書いてあったから確認したが、そこからそちらが来たとの連絡を受けたのでな。だから自然な流れでアッシュにこの手紙の中身についてを知らせないようにするため、こんな形を取らせてもらったんだ」
「妻からの手紙、ですか・・・拝見させていただきます」
ピオニーは手元から手紙を取り出し近付きながら理由についてを答えると、孔明は手紙を受け取り中身に目を通していく。
「・・・成程、そういうことですか」
「何と書いてあったのですか、丞相?」
「端的に言えば今のままで行くならルークは私の庇護下に入る事を選ぶとの事です。アッシュの殺意をどうにか出来るとは思えないことから、私の元にいる方が安全ならと。それで出来ることならアッシュにもどう考えているのかを聞いて今後の方針を立ててほしい、とのことです」
「成程、ルークの気持ちが固まったから手紙を送られたと言うことですか」
そして一通り目を通して納得する孔明にリグレットが中身についてを問うと、ルークとアッシュの二人についての事で納得の様子を見せる。
「その中身について把握したならこちらから話をするが、その手紙が届いたこともそうだがアスランからアッシュについての報告を受けていた事もあってそちらに協力することにした。こちらとしてもこの問題は後にキムラスカにアッシュが戻ると言うのなら、全くこちらにも関係しない話では無いからな」
「ピオニー陛下から直々にそう言っていただける事はありがたく思いますが、よろしいのですか?フリングス少将にカーティス大佐はアッシュがキムラスカに戻ることにあまり良くない気持ちを抱いていると、報告を受けているかと思われますが・・・」
「それは確かに報告はあったし、俺も少なからずそう感じた・・・だがそちらの行動があってこちらが助けられた部分についてを考えれば、そちらへの借りを返すためにもアッシュをキムラスカに戻すというなら協力した方がいいと思ったのでな。それに・・・キムラスカがアッシュのせいでダメになると言うなら、対岸の火事で済ませればいいと思ったのもある。そこから先の事に関しては戦争にならなければ、言い方は悪いがいかにキムラスカが堕落しようともこちらに被害が及ばねば別に問題にならんからな」
「成程、そういうことですか。まぁそこまで行けば我々が介入するような問題ではなくなりますから、確かにキムラスカがどれだけアッシュを御せるかの問題になりますから、マルクトにはその責は及ぶような事にはそうそうはならないでしょうね」
「そういうことだ」
その会話に入るような形でピオニーが協力する旨を話した上でもしもの場合のアッシュによる被害はないと見捨てるつもりの言葉を口にすると、孔明はむしろ当然といった様子で受け答えする。ピオニーの考えは間違ってはいないと。









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