軍師と女忍、解決に踏み切る

・・・それでケセドニアの街を出て少し歩き、人の来ないだろう場所で待機していた魔物達と合流したくのいち達は彼らの手を借り移動を始める。ちなみに今回はライガの大きな背に乗り、地を走る形でタタル渓谷に向かっている。別の場所では場所が場所な為に空を飛べる魔物を待機させているらしいが、今回は別にそこまで場所が複雑ではない為にライガに頼る形にしたのだ。



「・・・何かこうやって魔物の背中に乗って移動だなんて経験をするだなんて思ってなかったぜ・・・」
「初めての経験はどうですかい、旦那?」
「まぁ乗り心地は悪くはねぇよ。ただこんな風に乗れるとは思っちゃいなかっただけだからそう考えるとすげぇって思ってな」
「初めてならそりゃ当然っすよ♪」
何頭ものライガ達が並んで走る中でその背に乗ったルークの声に、その横にいて反応したくのいちは楽し気に返していく。
「ただこんな状況でもあの空飛ぶ椅子に乗りながら一緒に付いてくるディストの姿はなんかシュールな気はするな・・・」
「まぁディストはしょうがないっすよ。ディスト自身認めてる事っすけど、あの椅子がないと体力普通の人以下の物ですから下手するとライガに捕まれずに落ちてしまうんで」
「あぁ・・・それはある意味仕方ねぇか・・・」
ただそんな中で横を並走する形で空飛ぶ椅子に乗って飛んでいるディストを見て言葉を漏らすルークに、くのいちがそうするしかないという理由を返すと何とも言いがたそうな表情になる。
「・・・つーか移動の最中でなんだけど、聞いていいか?」
「なんっすか?」
「リグレットにアリエッタとシンクとかはどういう感じに師匠の事を見限ったかみたいなのは軽くは聞いたけど、ディストってどうなんだ?今のあいつを見てると人の事をホイホイ裏切るような奴には見えねぇんだけどよ」
「あぁ、そういうことっすか」
ただそんなディストの話をしたからかどういう動機でヴァンから離れたのかを聞くルークに、くのいちも納得する。
「確かに今のディストなら裏切るだとかそういった事は旦那様にあっしらがよっぽどな事をしないと無いでしょうけど、話には聞きやしたよね?元々謡将の所にモースがスパイとしてディストを送り込んでた・・・ってことは」
「あぁ、そんなことあったな」
「それでなんですが、元々ディストって謡将にもですしモースにも別に忠誠を誓ってとかって訳で神託の盾に入ってないんすよ。単純に自分の目的を達成させるには謡将にもモースにもある程度協力していい顔を見せておいた方がいいって、そういう考えから謡将の権限で神託の盾に入った上でモースにもゴマをするような形で活動してたんすけど・・・まぁそこから先は話すと長いんで割愛して答えると、旦那様主導の元で謡将とモースに協力するだけの理由はもうないって証拠をかき集めてディストに告げたら、少し色々とお話はしたけどそれで二人の元から離れて旦那様の傘下に入るって決めたんす」
「・・・その色々ってのがすげぇ気になるんだけど・・・」
「そこについちゃちょっと今の状況じゃあんまりゆっくり話せないし、ディスト本人にもまだ許可はもらってないから聞きたいなら後でって形でお願いしやす」
「まぁそりゃ仕方ねぇか」
そこからディストについて話を進めていく二人だが、移動中と言うこともあいまりくのいちの言葉に素直にルークは頷く。ディスト当人の言葉は今の状況じゃ聞けないから、後でにしなければならないと理解して。



・・・そんな風にして会話をしていく中、ライガ達の足の早さとタタル渓谷が然程遠くない位置にあったこともあって一同はタタル渓谷に辿り着いた。









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