軍師と女忍、解決に踏み切る

「無論我々もそのような事にはしたくはないと思いはしましたが、貴女がいるのならそういった謡将関連での危険性は無くなります」
「・・・分かりました。兄さんにそんなことをさせないためにも、私がパッセージリングに向かいます・・・!」
「「「「・・・」」」」
そんな事態を避けるため・・・そう孔明に言われてティアは決意に満ちた表情で頷くのだが、そんなティアは気付かなかった。周りの自分を見る目が様々な物でこそはあったが、共通して決して良くない感情を浮かべた物であることに。
「それでは早速ではありますが、まずはこのダアトの中にある隠し通路を通りザレッホ火山にあるパッセージリングの元に向かいましょう。日に一便しかないケセドニアに向かう船に乗る事もありますが、タルタロスで各地を回るお二人も一目どのような物かを見ていただいた方がよろしいでしょうからね」
「えぇ、分かりました」
「ではトリトハイム殿。またしばらく頼みます」
「はい、後は任せてください」
そんな視線には何も言わずまずはとザレッホ火山のパッセージリングへ向かうと宣言する孔明に、ジェイドもトリトハイムも反論する事なく頷いて返す。









・・・それでダアトの中の隠し通路を通り、孔明達はパッセージリングに向かう。



「・・・ここです。本来ならここにはダアト式譜術を用いなければ開かない扉がありますが、あらかじめ開けてありますので今回はこのまま素通りします」
火山の熱気がまとわりつく中で岩壁の中にポツリと不自然に空いた人が通れる程のスペースを前に、孔明は扉は今はないと説明してから更に先に進む。



「・・・ここが、パッセージリング・・・私は初めて見ますが、これほどだとは・・・」
「この世界の大地を浮かせる程の技術が用いられているのですから、これくらいの壮大さがあってもおかしくはないでしょう。無論、私も初めてここに入った時には驚きましたが」
・・・パッセージリングの中心にてフリングスが辺りを見渡しながら感嘆の声を漏らす中、孔明も初めは同じような物だったと同意する。
「さて、ティア・・・そこの操作盤の前に立っていただけますか?話によればそこに立てば自動的にユリアの血族の血に反応し、封印が解除されるとのことです」
「あ、はい分かりました・・・っ・・・」
「「「「・・・」」」」
そこから孔明がティアに目の前にある操作盤の前に立つようにと言い、素直に従い操作盤の前に立つと微妙に体を震わせた姿が一同の目に映った。
「・・・これでいいんですか、丞相?」
「えぇ、それでいいはずです・・・リグレット、謡将はパッセージリングに何らかの仕掛けはしていないのですね?」
「はい。我々以外に誰もパッセージリングを調べに来ることはないだろうことから、自分だけしか操作出来ないと言った仕様にはしていません。ですので封印を解くことさえ出来れば我々にもパッセージリングの操作権はあるでしょうが、後々の事を考えればあまり他の者に簡単に操作出来るような状態にするのは好ましくありません。ですので操作権に関しては奥方が得て、他の者達には使わせないようにするべきかと思われます」
「それは私も考えていました・・・頼めますか、くのいち?」
「勿論、お任せください」
そこから何事もないように振り返りながら問い掛けを向けるティアに孔明は答えつつリグレットに話題を振り、リグレットが答えを返していく中で出てきた案についてをくのいちに頼むとうやうやしく頷く・・・ティアの身に起きたことなど何もなかった。そう皆が意識するかのように自然な流れになる形でだ。









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