軍師と女忍、解決に踏み切る

・・・ダアトに戻った翌日。ルーク達は導師の私室に集まっていた。



「・・・成程、昨日の会話に出てきたパッセージリングという単語はそういうことだったのですか・・・」
「そうなりますが、謡将との話の通りに彼女にはこの事を口にしないようにお願いします。昨日話した通りにティアと謡将以外にこの役目を果たせる者はいませんが、彼女がその事実を知れば面倒になりかねませんからね」
「分かっています。そう聞けばティアに自発的に動いてもらう方が楽でしょうからね」
・・・朝早くから集められた一同だが、その目的はティアが来る前にした方がいい話をすること。
孔明がパッセージリングについて説明をし終わって口止めを願うと、納得していたジェイドはすぐに頷く。
「ですがその時になればティア=グランツも否が応でも事実をその身をもって知ることになるはず・・・その時彼女にどう説明するかもですが、彼女の士気をどのように保たれるおつもりですか?」
「その件に関してですが、少し我々は二手に分かれて行動をするようにしたいと考えています」
「二手に、ですか・・・?」
ただフリングスがティアが実態を知った後についてを懸念する声を上げるが、孔明が二手に分かれると言ったことに孔明陣営以外がフリングスと同じように眉を寄せる。
「何故二手に分かれると言い出したのかと言えば、これからの事を考えて様々な手間を省くためでもあります。一応は謡将率いる兵隊もいなくなりキムラスカの驚異も無くなりました。この状況であれば我々が不慮の敵に出会うことはまずありませんので、色々と潤滑に事態を進める事が可能です」
「それは分かりますが、ティア=グランツの事はそこでどうするのですか?」
「彼女についてはパッセージリングの事がありますからそちらを回る方に配置させていただきますが、彼女についての対応は妻に一任することにしています。彼女がどういった行動を取るかの予測はついていますからね」
「・・・既に予測が出来ているのですか?」
「彼女の性格に考え方からして、自分しか出来ない事を与えられた・・・となれば使命感を感じる事でしょう。そしてパッセージリングの事実についてを体感したなら、彼女は妻に自身の体に起こっている事を言うことを考えると同時に自分が我慢して異常は何事もないと言ったように見せなければならないとも考えると共に・・・最終的には後者を選ぶと見ています。自分が我慢すれば全てうまくいくならとそういったように考え、痛みを見せないようにする形でです」
「・・・確かに、彼女の今までの様子なら痛みを訴えて中止を願い出るよりはそう言ったように我慢をしそうですが・・・」
二手に分かれることの理は何かについてを語る中でティアがいかな判断を下すのかを話していく孔明の推測に、フリングスは納得はしつつも何かを言いたげな視線を向けてくる。
「・・・一応言わせていただきますが、私は彼女に死んでいただきたいと思ってこのように申し上げている訳ではありませんし、彼女が肉体の苦痛から限界を申し出ればそれ以上は彼女に無理をさせるつもりはありません。ただその場合でも彼女には体調の事から神託の盾からは絶対に除隊していただきます」
「・・・まぁ彼女にいられては迷惑だというのはお聞きして理解していますが、そう聞いて多少ホッとしました・・・」
そんな視線に一応の弁明をする孔明にフリングスも納得するのだが、二人ともにティアにある程度酷い目にあってもらうのは当然と言った様子になっているのはティアの自業自得であった。特に人がいいフリングスからの反対意見が出ない辺りが。









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