軍師、焔達と会う

「イ、イオン様・・・」
「・・・すみませんがティア、この問題に関してはダアトにローレライ教団の面子にも関わってきますし・・・何より貴女が個人的な事と言って話すことを拒むからには、僕が貴女を擁護するべきではないとコーメイの話で思いました。むしろ理由を言えないからで貴女の事を放任することは出来ないとも・・・」
「そんな・・・」
たまらず声を漏らすティアにイオンは謝りつつも譲る事はないと言い切り、愕然とさせる。
「許可を出していただきありがとうございます、導師。後はこちらの兵士の半分を彼女の連行の役割につかせますので、我々は先に参りましょう」
「ティアと一緒には行かないのですか?」
「一応理由に狙いがハッキリしない以上はティア=グランツは不審者、もしくは犯罪者と同様の扱いにするのが当然の流れです。それにこれから港に向かい謡将にも話を聞く予定でもありますので、彼女がいることで話の流れを変えられると言うことは私の望む事態ではないのです」
「そういうことですか・・・分かりました、そういうことなら」
そのまま孔明がティアは分けて連行する旨を述べ上げると、イオンは了承したと頷く。
「では半分はここに残り、ティア=グランツの連行を・・・それと、申し開きがあるなら大人しく彼らに付いてくる事です。これ以上時間を取れば皆さんの行軍が遅れますし、何より貴女が私の言ったことを理解していない事の裏付けになりますからね」
「っ!・・・分かり、ました・・・彼らに付いていきます・・・」
それで兵に指示を与えた上でティアに釘を刺すよう言う孔明に、ティアは抗議したいといった気持ちを必死に圧し殺すかのように力なく頷く。
「話は終わったんだろ?なら行こうぜ。師匠はそんなことしてねぇって信じてるけど、話をしなきゃなんねぇってんなら早く港に行った方がいいんだろうしな」
「えぇ、では行きましょう」
そしてルークがさっさとしようと出発を切り出して孔明が頷いた事で一同は動き出す。連れてきた神託の盾に纏う空気に陰がズンと落ちたティアを残して・・・









「・・・なぁ、少し気になんだけどお前って戦えんのか?」
「・・・一応戦えますが、どうしたのですか?ルーク殿」
「いや、そっちの姉ちゃんはここに来るまでで大分助けられたからどんだけ強いか分かるんだけどお前見るからに戦うって感じじゃねーじゃん。だからもしかして俺らが守んなきゃなんねーのかって思ってな」
「・・・ルーク殿達が守る、ですか・・・」
それで国境を越えて歩みを進める一同の中でルークが突然質問してきた事を訝しむ孔明だったが、その話の中身にそっと羽扇で口元を隠すように呟く。
「・・・その必要はありません。確かに私は進んで前に出るような戦い方はしませんが、危険が迫れば自分の身は自分で守ります。それに半分に減ったとは言え私と共に来た彼らは腕利きの兵士です・・・むしろここからの道中の戦闘は彼らに任せてください。貴方に無礼を働いたティア=グランツに対するせめてもの詫びも含めて」
「そうか?んじゃ楽させてもらうわ♪」
それで羽扇を口元から退かした孔明は大丈夫と念を押した上で兵士に戦闘を任せるよう言うと、ルークは素直に笑顔で了承した。面倒ごとは消えたとばかりの爽やかな笑みで。










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