軍師、責める

「・・・ではダアトに戻りましょう。今日の所は一先ずこれで終わりですから、着いたら休んでいただいて結構ですよ」
そして話は終わったとダアトに戻ることを切り出す孔明に周りも反論を口にすることなく、先を歩き出すその後ろに付いていく・・・









・・・それで道中何事もなくダアトに着いた一同は後は休むようにと言われたことで、解散の流れとなった・・・のだが・・・



「・・・初めて見た・・・あんな師匠の姿・・・」
「彼の本当の姿・・・と言うよりは彼自身が目を背けていたことに、彼女自身の体たらくが招いた事を私は指摘しただけですよ」
・・・そんな中でルークは一人孔明の元を訪れ、先程のヴァンについてを話していた。ちなみにくのいちや他の面々はおらず、二人きりの空間である。
ルークは衝撃を感じているといったようだが、平然と孔明は返していく。
「まぁこれは謡将を擁護するわけではありませんが・・・彼は自分がやっていることが正しいと思いながら自らと似ているかもしくは近しい者を集めて行動をしてきました。ですが同じ考えを持つ者しかいない場というのは反対意見が出ないという、いわば諌める方がいない場になるのと同義でもあるのです。例えそれが間違っていたとしても、それを糺してくれたりする方が」
「・・・だから師匠はあんな風になったってのか・・・」
「手前味噌な言い方をさせていただきますが謡将は私の事を買っていたようですし、問題になったのは唯一の肉親でしたからね。その事実が心に重くのしかかったのでしょう」
続けてヴァンがあぁなった理由を挙げていく孔明に、ルークの表情が暗く落ち込んでいく。
「・・・あんな姿を見た後だと尚更に感じちまうよ・・・師匠が俺に対して見せた姿とさっきのティアに対しての姿・・・やっぱり師匠は俺の事を思っちゃくれてなかったんだってな・・・」
「そう思っているのはアッシュもでしょう。師の姿に衝撃を同じように受けていた貴方とアッシュの様子はまさに瓜二つといったようでしたからね」
「アッシュも、か・・・」
そこからいかにティアと自分への想いの向けかたに差があったのかを感じたと漏らすルークに、孔明はアッシュも同じような物と見えたと告げる。
「ルーク、貴方がどのような選択をするかは貴方の自由です。ただこれだけは覚えておいてください・・・私は貴方の唯一の理解者だとか、そういった大言に誓いなどを口にはしません。ですが貴方に助言なり何なりの形で助け船を出すことは出来ます。それは私のみに限らず、くのいち達も同様にです・・・ですから悩まれるようでしたらこうして私に話をしに来てください。アッシュは自分一人の内でどうにかしようと私が何かを言っても突っぱねるでしょうが、貴方までそうする事はありません」
「コーメイ・・・分かった、そうするよ・・・」
だからこそアッシュとは違う道を・・・孔明が自分達が助けになる事を優しく口にすると、ルークも少し安心したように頭を下げた。その優しさが嘘ではないと感じて。









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