軍師、責める

「ではティア、貴女はここに残ってください。そして出来ることなら市長達が良き返事が出来るよう、説得してください。いいですね?」
「は、はい・・・分かりました・・・」
それで孔明がティアへユリアシティに残るように言うが、経緯が経緯な為か即答とは行かない様子で頷く。
「では我々はこれで失礼します。より良い返事が返ってくることを期待していますよ」
そして今度こそ孔明が終わりだと頭を下げてから退出していき、ルーク達もその後に付いていく。それで場に残されたのは複雑な表情を浮かべる市長とティアだけだった・・・









・・・それでユリアシティから出るようユリアロードを抜け、アラミス湧水洞の入口まで戻ってきた孔明達。
「・・・あれで良かったのですか、丞相?明日にと言ったようにお答えして、ティアを残していきましたが・・・」
「えぇ、問題ありません。あのような言い方はしましたが、この展開も計算済みです」
「あのような言い方をしたのも計算済み、ですか・・・」
そこでジェイドが孔明に声をかけるが、予定通りと平然と返す様子に顔を隠すように眼鏡に手を当てる。
「・・・ではティアをあそこに置いてきたのも、貴方の計算通りという訳ですか」
「えぇ、その通りです」
そこから次に孔明に声をかけたのはどこか探るような目を向けるヴァンだが、その言葉にも平然と頷く。
「では何の為にティアを置いてきたのですか?丞相の事ですからあれだけ言えば市長達も頷かざるを得ないだろうとは分かった筈ですが・・・」
「えぇ、それくらいは分かっています。そして私がティアを残した狙いは単純な事で、あまり彼女を連れて回りたくないというのが狙いなだけです」
「ティアを、連れて行きたくない・・・」
「コーラル城で会話をした時に貴方も感じたのではないですか?・・・私の中に、ティアに対する信用はないということは」
「っ・・・それは・・・」
更に探りを入れるよう問い掛けるヴァンに自身の考えと気持ちを正直に孔明は明かすのだが、その中身に苦い顔を浮かべる。孔明という存在にそこまで妹が信用されていないという事実を改めて認識して。
「先のユリアシティではやむ無しと言ったように第七預言についてを知ってはいただきましたが、あくまでもそこまでは想定していた内・・・ですがこれ以降は彼女に重要な情報は与えませんし、ましてや重要な立ち位置になど立たせるつもりはありません。彼女は人の上に立てるような存在ではありませんし、将来的にそうなるともとても思えません。むしろ自らの力量不足を力量不足と思わず、貴方の為にも出世をしようとしてくるでしょう・・・ですので貴方にとって残酷な事かと思いますが、少なくとも全てが終わる頃には彼女には神託の盾から去っていただくようにします。それも彼女の意志がどうあろうが、関係無い形でです」
「・・・今後のダアトに神託の盾の事の考えるなら、そうした方がいいでしょうね・・・丞相が言われるよう、ティアは人の上に立てるような器ではないですし立たせてもいいとは私も思ってはいませんからね・・・」
そして更にティアを用いないことを強調して語っていき、ヴァンも苦い顔を変えることなく妹に対しての厳しい評価を口にする。
「・・・ですが、どうやってティアを神託の盾から引きずり下ろすおつもりですか?言ってはなんですがティアは自分の事については容易に曲げるような子ではありませんし、出ていくようにと言っても無理に神託の盾に居続けると思いますが・・・」
しかしならどうするかともヴァンは聞き返す・・・そういったティアだからこそ生半可な説得ではどうにもならないだろうと、兄の立場からの疑問をぶつける形で。









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