軍師、責める

「まぁ私にとっては都合が良かったがな。信頼を得て動きやすくなったこともあり、私の事になど注目を向けなかったのだから」
「じ、じゃあ兄さんは・・・お祖父様の事を、初めからお祖父様だなんて思ってなかったの・・・!?」
「初めからかそうではないかなど最早些細な事だ・・・私はこの男の事など祖父となど見ることはない。私が肉親と思っているのはティア、お前だけだ」
「「っ・・・!」」
それでヴァンが嘲るような言葉を吐く姿にティアは恐る恐る確認をするが、ハッキリ祖父と思わないと切り捨てたことに市長共々息を呑んだ。ここまで取り付くしまのない答えを返されてしまえば、否が応でもヴァンはそう思っているのだと感じた為に。
「・・・貴方の身の上については初めてお聞きしましたが、それほどまででしたか」
「流石に貴方でもそこまでは把握していませんでしたか」
「家庭の事情は家庭の中での情報でしかありませんし、流石にリグレット達にもそれらの事は話していなかったようですからそこまでは予想など出来ませんよ。精々貴方と市長の間で不和というか、一方的な勘違いにすれ違いがあったとくらいしかね」
「フッ・・・それだけでも予想が出来ているだけ、やはり貴方は鋭い方だ」
そこに今まで黙っていた孔明が話に加わるのだが、さっきまでと違い皮肉げとは言えヴァンは楽し気な笑みを見せる。
「さて・・・ティア、貴女が私の許可なく発言したのはもうこの際構いません。ですがこれで市長共々理解されたことでしょう・・・謡将が嘘偽りなく行動を起こしたこともですが、現在この外殻大地が危険であることも」
「それは・・・話を聞けばそうなるのは、流石に分かります・・・ですが、預言が・・・」
「その預言を優先させた事により、謡将がこのようになったことをもうお忘れになったのですか?」
「そ、それは・・・ですが預言に従わねば、オールドラントは繁栄が・・・」
「・・・ふぅ・・・」
その姿を見てからティアに一言言って市長へと話を振る孔明だが、根拠を示しても尚預言がと諦めと理解が出来ない姿を見て羽扇で口元を隠してタメ息を吐く。
「予想はしていましたが、やはり素直には受け入れてはくれないようですね・・・では仕方ありません。謡将、申し訳ありませんが貴方がホドで見たという第七譜石の存在についてお話いただけませんか?」
「「なっ!?」」
それで羽扇を外して口にしたのは第七譜石の事実の暴露の要請で、いきなりの言葉に市長とティアの二人は最大限の驚愕に声を上げた。
「・・・市長はともかく、ティアには話はしていなかったのですか?リグレット達はともかく、他の面々がそれほど驚いていない様子を見るとそのように感じますが・・・」
「えぇ。何かあれば私達の制止など忘れたと言うか、あるいは自分が今こう言うことは間違いではないというような彼女にこの事実を明かすには危機が伴うと感じたのですよ。それこそ何か自分にとって故があれば自分の思うがままに発言する様を見れば分かるでしょう?」
「っ・・・!」
「・・・成程、情報の秘匿には向かないと感じたから敢えて何も話さなかったと言うわけですか」
ただヴァンは辺りの様子を見て周りの面々はそれほど驚きがない様子についてを聞くが、孔明から返ってきた理由とティアがグッと言葉を詰まらせた様子に残念そうに目を閉じ事実を受け止める。先程の孔明の言葉と起こした事実もあって、ティアなら大丈夫などと決して言えないと感じて。









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